糖尿病性壊疽

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怖い!糖尿病性壊疽

糖尿病の合併症として知られている「糖尿病性壊疽」。足に壊疽が起きてしまうと、これまでは切断手術による対処療法しかありませんでした。ところが、壊疽の原因となっている詰まった足の血管(重症虚血性肢疾患)をインターベンション治療によって拡張する新治療法で、足の切断を回避できることが明らかになりました。
この新治療法について、社会保険小倉記念病院循環器科部長・横井宏佳先生にお話を伺いました。

目次

怖い!糖尿病性壊疽 下肢切断に至れば確実に短命に

先進国で患者数が増加し続けていると言われる糖尿病。病気が進行すると、さまざまな合併症が起きることが知られています。

重度の合併症として知られているのが「糖尿病壊疽」。糖尿病が原因で身体の末端の血行や神経に障害が生じ、小さな傷が治らずに潰瘍化してしまうことが原因です。

壊疽は悪化した潰瘍の末期症状。壊疽に至ってしまうと、生命を救うためにその手前で切断手術を行うしかありません。日本では下肢の切断に至る患者さんが年間1万人を越えています。

たとえ足切断手術に成功しても、予後はけっしてよくありません。術後30日以内で患者さんが亡くなってしまう割合は、ヒザ下での切断で5〜8%、ヒザ上での切断で8〜12%にも達しています。実に10人に1人前後の患者さんが、術後1カ月以内に亡くなっているのです。

このように死亡率が高いのは、糖尿病性壊疽を起こす患者さんの全身状態が悪く、感染も起こしやすく、傷の治りも悪いという悪条件が重なるからでもあります。

血液の循環がなくなってしまうため「足が冷たくなる」

小さな傷が治らず、壊疽に至るのは、糖尿病が血管の動脈硬化を進行させてしまい、血管が詰まって血液の循環がなくなっているから。血管が詰まって、そこから先に新鮮な血液が末端に届けられないために傷が治らず、傷が感染を起こし、潰瘍化してしまうのです。

足の場合、ヒザ上の血管が詰まることを「閉塞性動脈硬化症」、ヒザ下の血管が詰まることを「重症虚血性肢疾患」と呼んでいます。

病気の原因としては、糖尿病のほかに、「慢性腎不全で透析医療を長く受けていること」や、70代以上の高齢者の場合、動脈硬化など単純な老化があります。

血管が詰まる「重症虚血性肢疾患」を関節の痛みと勘違い

この病気には、足が冷たい、歩くと痛いなど自覚症状があります。

足切断に至る場合もある深刻な病気であり、自覚症状もはっきりしているのに、実際の医療現場では、血管が詰まっていることが見過ごされる場合が少なくありません。

その理由は、ヒザ下の“詰まった血管”を積極的に治療する施設がまだ少ないこと。また、糖尿病の医療現場では血糖コントロールが第一の目標。フットケアなどで足の血行状態まで管理している施設や医師が、多いわけではないこと。

さらに、足の痛みなどの自覚症状があっても、患者さんが関節の痛みと勘違いして整形外科を受診しており、血管が詰まっているという診断や治療に至っていないから。

特に、ヒザ下の重症虚血性肢疾患の場合、これまで治療の対象としては考えられていませんでした。