変形性膝関節症は、症状の程度によって複数の治療の選択肢があります。そのひとつが新しい治療法として期待されているPRP療法です。そのほかに、薬物療法や保存療法で改善が望めない場合でも、傷んだ関節部分を取り除き、人工の関節に置き換える手術があります。これを人工関節置換術といいます。人工関節置換術は、人工膝関節の性能向上や身体に負担の少ない術式の開発などにより、患者さんの身体への負担が軽減すると言われています。
PRP(Platelet Rich Plasma:自己多血小板血漿)療法は、患者さんの血液から取り出した血小板を利用する再生医療のひとつです。血小板を多く含むPRPには、人が持つ“治る力”を引き出し、傷んだ組織の修復を促す成分が含まれています。患者さんの血小板から取り出したPRPを痛みや変形があるところに直接注射することで、炎症を抑えて痛みを改善したり、治癒を速めたりする効果が期待できる治療法です。
人工関節置換術は、摩耗した関節軟骨と骨の一部を取り除き、関節表面を人工物に換える手術で、重症の変形性膝関節症や膝の変形が進んだ場合にも有効と言われています。虫歯が大きくなったときに差し歯や入れ歯のような人工物に置き換えるのと同じように、膝関節を人工関節に換えることで痛みを取り除きます。
人工膝関節は、生体材料(生きている人の身体にも適合することが確認されている材料)のコバルトクロム合金、チタン合金、超高分子量ポリエチレンでつくられています。近年では超高分子量ポリエチレンの酸化を防ぐために、抗酸化剤が添加された部品も使用されています。
太ももや脛の関節面の骨を削った後、骨の代わりとなる合金製の部品をはめ込み、金属と金属の間に、超高分子量ポリエチレンを挿入します。これは金属と金属が直接こすれることで細かい金属粉が出るのを防ぎ、膝をなめらかに動かすための工夫です。
※本ページは整形外科医師の監修を受けています。
膝関節の骨の軟骨は加齢に伴って弾力性を失い、使いすぎによるすり減りや関節の変形が起こります。進行すると歩行が困難になることもある変形性膝関節症は、早期の治療開始が重要となります。