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なるほど!膝関節の治療法
「PRP療法と人工関節置換術」特集

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変形性膝関節症は、症状の程度によって複数の治療の選択肢があります。そのひとつが新しい治療法として期待されているPRP療法です。そのほかに、薬物療法や保存療法で改善が望めない場合でも、傷んだ関節部分を取り除き、人工の関節に置き換える手術があります。これを人工関節置換術といいます。人工関節置換術は、人工膝関節の性能向上や身体に負担の少ない術式の開発などにより、患者さんの身体への負担が軽減すると言われています。

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PRP療法

PRP(Platelet Rich Plasma:自己多血小板血漿)療法は、患者さんの血液から取り出した血小板を利用する再生医療のひとつです。血小板を多く含むPRPには、人が持つ“治る力”を引き出し、傷んだ組織の修復を促す成分が含まれています。患者さんの血小板から取り出したPRPを痛みや変形があるところに直接注射することで、炎症を抑えて痛みを改善したり、治癒を速めたりする効果が期待できる治療法です。


Q.変形性膝関節症へのPRP療法はどのような人に向いている治療法ですか?

A.PRP療法は、ヒアルロン酸注射や薬剤以外の選択肢の一つとして、また様々な事情でできる限り手術をせずに治療したいと考えられている患者さんに向いている治療といわれています。ご自身の状況や症状などを踏まえ、かかりつけの医師へ相談してみましょう。


Q.外来で治療ができますか?

A.PRP療法は、入院の必要はありません。治療は患者さんからの採血、PRPの調整、患部への注射と比較的短時間で終了するためです。


Q.PRP療法を検討するうえで注意すべきことはありますか?

A.PRP療法は、患者さん自身の血液から取り出した血小板を使う治療のため、症状や年齢、服用している薬などによって治療効果やその期間などに個人差があるのがデメリットといえます。医師と相談し、よく理解した上で治療方法を選択しましょう。


Q.PRP療法はどのくらい費用がかかりますか?

A.PRP療法は保険適用外のため、現在は医療費が全額自己負担となる自由診療でのみ認められています。健康保険が利用できないため、医療費については各医療機関にて事前に確認をしておきましょう。医師の説明をよく理解し、自分の膝の状態や日常生活への影響、年齢、経済的な負担などを踏まえ、納得した上で治療を受けることが大切です。


Q.PRP療法は整形外科であればどの病院でも受けることができますか?

A.PRP療法を含む再生医療は比較的新しい治療法のため、安全に患者さんへ提供するための厳しい基準が設けられています。治療を行う医療機関はその治療内容について審査を受け、厚生労働省へ届け出を行わなければならないことが法律で定められており、認可を得た施設のみがPRP療法を行うことができます。かかりつけの医師に確認してみてください。


ワンポイントアドバイス


PRP療法は変形性膝関節症の比較的新しい治療法とされており、治療を受けられる医療機関も増えています。患者さんの身体への負担も少なく、効果も期待されている治療法といわれていますが、すべての変形性膝関節症の患者さんにとって最適な治療とは限りません。自分の膝の状態を正しく知り、自分に合う治療を選択するためにも、膝の違和感や痛みなど、気になる症状があった場合には早期に整形外科を受診することが重要です。


人工関節置換術

人工関節置換術は、摩耗した関節軟骨と骨の一部を取り除き、関節表面を人工物に換える手術で、重症の変形性膝関節症や膝の変形が進んだ場合にも有効と言われています。虫歯が大きくなったときに差し歯や入れ歯のような人工物に置き換えるのと同じように、膝関節を人工関節に換えることで痛みを取り除きます。

人工関節とは

人工膝関節は、生体材料(生きている人の身体にも適合することが確認されている材料)のコバルトクロム合金、チタン合金、超高分子量ポリエチレンでつくられています。近年では超高分子量ポリエチレンの酸化を防ぐために、抗酸化剤が添加された部品も使用されています。

太ももや脛の関節面の骨を削った後、骨の代わりとなる合金製の部品をはめ込み、金属と金属の間に、超高分子量ポリエチレンを挿入します。これは金属と金属が直接こすれることで細かい金属粉が出るのを防ぎ、膝をなめらかに動かすための工夫です。

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Q.人工関節はどうやって入れるの?

A.人工関節置換術は、膝にメスを入れて開き、太ももの骨と脛の骨を削って、人工関節を入れて固定する手術です。手術は次のような手順で行われます。
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Q.変形性膝関節症と診断されたら手術を受ける必要がありますか?

A.膝関節の変形が強い場合でも、患者さん自身が痛みや日常生活への支障を感じていなければ、手術は必要はないと言われています。人工膝関節の手術は、痛みを取ることが一番の目的です。強い痛みを訴える患者さんでも、関節全体はそれほど変形していない場合もあり、炎症を抑える薬などで改善することもあります。X線検査などで膝関節が大きく変形していることが確認され、それが日常生活に支障をきたすほどの強い痛みの原因になっている場合は、医師と十分相談の上、人工膝関節の手術の要否を検討しましょう。


Q.人工関節はどのくらいもつのでしょうか?

A.一般的に人工膝関節は、15~20年年程度もつといわれています。そのため、平均寿命から逆算し、通常は60歳以上の患者さんが手術の対象となります。なかには長い間使用してきた人工関節が消耗するなどして、再手術が必要となる患者さんもいます。手術後も定期的に検査を受け、膝に負担がかかる原因となる肥満の解消に努めましょう。また、骨質が良い早期の段階で保存療法や薬物療法などを開始し、進行を遅らせることも大切です。


Q.人工膝関節置換術はどのような人が受けていますか?

A.人工膝関節置換術は、変形性膝関節症だけでなく、関節リウマチで関節の破壊が進み、強い痛みなどがある患者さんに行われることも多い手術と言われています。


Q.手術後はどのくらいで歩けるようになりますか?

A.手術後は合併症を防いだり、日常生活で必要な動作を身につけたりするために、リハビリテーションを行います。リハビリテーションは、できるだけ早いうちに開始し、手術後の経過に合わせて段階的に進め、日常生活動作の訓練や歩行補助具を使った歩行訓練を行います。

手術後の経過や体調によって異なりますが、2週間〜1か月程度で退院となるのが一般的です。手術前には杖が必要だった患者さんが杖なしで歩くことができるようになるなど、痛みによる日常生活の制限を減らすことができると言われています。


ワンポイントアドバイス



人工関節置換術は従来の術式と比較し、より小さな傷で済む手術方法(最小侵襲手術法)も普及してきました。傷が小さくて済むことから関節や筋肉へのダメージが少なく、傷や筋肉の回復が早いため、患者さんへの負担が少ない手術方法と言われています。手術後、早めにリハビリテーションが開始できるため、入院期間が短くて済むのもメリットですが、手術中に医師が目で見て確認できる範囲が限られるというデメリットもあると言われています。患者さんの状態によって安全に行うことが難しい場合には、一般的な膝を切開する方法で行います。すべての手術は患者さんの状態を踏まえて安全に実施できる方法が優先されます。十分に医師の説明を聞き、納得したうえで治療法を選択しましょう。

 
変形性膝関節症の原因・症状についてはこちらをご覧ください

※本ページは整形外科医師の監修を受けています。


膝の痛みは、どのように治す?〜Case3.変形性膝関節症

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