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妊娠・出産の基礎知識

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妊娠・分娩の進み方や帝王切開、傷あとの不安について

妊娠や出産は新しい命を育てるための大切な営みですが、その際には、多くの身体の不調や予想外の危険が潜んでいます。母子ともに健康で快適でいるために正しい知識をもち、準備をしっかりとしておくことが重要です。

 

【出産】

全てが予定通りに進めば、妊娠37〜41週の間に陣痛が始まります。

第1分娩期:規則的な陣痛が始まり、子宮口が10センチに開くまでが第1分娩期で、初産婦で十数時間程度、経産婦で数時間程度かかります。

第2分娩期:子宮口が全開になり、新生児が生まれるまでをいいます。初産婦では平均1〜2時間かかります。会陰の伸びが悪い場合は、裂傷を避けるために会陰切開をする場合があります。

第3分娩期:出産後、胎盤が出てくるまで。数分〜20分ほどかかります。その後、会陰切開をした場合は、抜糸がいらない吸収されるタイプの糸で縫合をすることがほとんどです。

 

経腟分娩と帝王切開

出産には、腟を経由する経腟分娩と、おなかを切って胎児を取り出す帝王切開があります。経腟分娩には自然分娩、計画分娩、無痛分娩などがあります。
 

経腟分娩

自然分娩:自然に陣痛が来るのを待ち、そのまま流れに任せて分娩をする方法です。分娩時に異常が現れた場合には帝王切開に変更する場合もあります。

計画分娩:母体や胎児の健康上の理由から、自然分娩を待たずに計画的に分娩を誘発して出産を開始する方法。本来は疾患を持つ妊産婦を対象としている方法でありますが、本人の希望により実施されることもあります。

無痛分娩:陣痛時に麻酔(硬膜外麻酔)を使って痛みを抑えながら分娩をする方法。日本では実施率は低い一方で近年は増加傾向にあります。本来は疾患を持つ妊産婦を対象としている方法でありますが、実際は無痛分娩の多くは、本人の希望により実施されています。実施施設の多くは、専門職が配置され定期的な研修が行われています。近年では分娩の1つの選択肢となっています。

 

帝王切開

近年、分娩のうち約27.5%が帝王切開です※1。妊娠中の経過や母体・胎児に問題があり、帝王切開による分娩が必要と判断された場合、自然分娩中に分娩が進まなくなったり(分娩停止)、分娩の前に胎盤がはがれてしまい母子の状態に影響したりすると判断された場合(常位胎盤早期剥離)は、帝王切開を行います。

帝王切開の際のお腹の切開方法は、おへその下から恥骨のやや上あたりを縦に切る「下腹部縦切開」と、恥骨の上を横に切る「下腹部横切開」があります。基本的に手術は下半身麻酔(硬膜外麻酔と脊椎麻酔の併用)で行われるため、妊婦さんは意識があります。

 
【帝王切開の切開方法】

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帝王切開の傷あとを目立たなくすることを目指して

帝王切開での出産で気になるのが傷あとです。時間経過とともに身体に吸収されて抜糸がいらない縫合糸や、皮膚の表面を保護する皮膚用接着剤などが開発され、傷あとを目立ちにくくすることを目指した真皮縫合も行われています。

 

傷の真皮縫合

皮膚の構造は体表面から、「表皮」「真皮」「皮下組織」に分かれています。真皮縫合は真皮の部分を縫い合わせることで、皮膚の表面から縫合糸が見えず、傷あとが目立ちにくくなります。縫合糸には安全性が確認された素材が使われ、体内に吸収される縫合糸では抜糸*の必要がありません。また、縫合糸表面に細菌が定着しにくくなるように加工された抗菌縫合糸もあります。

*吸収性の縫合糸を使用した場合でも、医師の判断で抜糸されることがあります。

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接着剤

真皮縫合後に、肌表面を皮膚用接着剤等で覆うことがあります。ガーゼ交換が不要で、術後早めのシャワーなどが可能です。

 

シリコンジェルシートなど

摩擦などの刺激から傷を保護するシートやテープを貼る方法もあります。

  
※1 日本看護協会調査研究報告 <No.96> 2021  2020 年 病院看護実態調査
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/research/96.pdf

(その他参考)
日本産科麻酔科学会:無痛分娩 Q&A
https://www.jsoap.com/general/painless

日本創傷外科学会:傷跡の治療について
https://www.jsswc.or.jp/general/kizuato.html

帝王切開後のきずのセルフケア

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