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四十肩・五十肩という思い込みに要注意! 早期診断が大切な「腱板断裂」とは

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男性も女性も年齢を重ねるにつれて、肩が痛くなっても「五十肩だから仕方ない」「四十肩は放っておけば治る」と自分で判断(自己診断)して、そのままにして放置しがちです。「四十肩・五十肩」という思い込みは、実は大きな落とし穴。肩の痛みといっても、さまざまな原因があります。医療機関で適切な処置をすれば改善できることも少なくありません。

特に中高年に多いのが、肩の「腱板断裂」。国内の患者数は約600万人とも推計されています。自然に治癒することがなく放置すると悪化するため、早期の診断がとても大切な疾患です。腱板断裂について正しい知識をもってもらおうと、ジョンソン・エンド・ジョンソン主催によるセミナーが都内で開かれました。

※掲載内容は開催当時のものです

進行していく「腱板断裂」は、早期の治療が重要

「五十肩は、病名として呼ばれていました。実際にはそうではありません。中高年の肩痛を意味する俗語です」

講演で訴えたのは、城東整形外科(秋田市)の副院長で、数多くの運動器疾患の診療実績を持つ皆川洋至医師。関節などへの超音波(エコー)を使った診療の第一人者でもあります。

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医療法人城東整形外科 皆川洋至医師

四十肩や五十肩というのは、“病名”ではなく“症状”。医学的には五十肩を「肩関節周囲炎」と呼んでいますが、皆川医師によると、一般的に五十肩とされる痛みの原因には、変形性肩関節症や肩峰下滑液包炎、反復性肩関節脱臼など20もの疾患が含まれています。レントゲンではこれらの疾患のうち3つしか診断できないため、“五十肩”を俗称で使ってしまっていたという経緯があるそうです。

五十肩と混同されやすい疾患の中でも、要注意なのが「腱板断裂」。患者の数も非常に多く、皆川医師の調べでは、50代の男性の4人に1人が発症し、加齢とともに増えていくということもわかりました。

腱板断裂は、放置しておくと裂けた部分が拡大し、悪化していくのが特徴です。肩の腱板は、肩甲骨と上腕骨を包み込むように支える4つの筋肉。断裂するメカニズムは、筋肉が硬くなるなどの理由で肩を回転させる支点のバランスが悪くなり、骨と腱がこすれたりするからと言われています。腱板が切れるとさらに肩は不安定となり、断裂は少しずつ広がっていく傾向にあります。

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肩腱板断裂のイメージ

治療法は、症状によって保存療法と手術療法に分けられます。保存療法は、注射などで痛み止めを施したうえで、理学療法によって肩を安定して動かす機能を回復させます。手術の場合は通常の外科手術もありますが、現在では、内視鏡(関節鏡)を使って治療する場合が一般的となっています。

五十肩だと自己診断されがちだった腱板断裂ですが、今では技術の進歩によって医療機関で正確な診断を受けることができます。皆川医師は、五十肩の原因とされた約20の疾患すべてが超音波診療で診断できることを説明。その中に腱板断裂も含まれています。この日のセミナーでも、参加者のうち肩の痛みで通院しているという男性が、その場でコニカミノルタの超音波診断装置(エコー)を使って検査を受け、腱板断裂ではないということが瞬時にわかりました。

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皆川医師は、「腱板断裂を放っておくと広範囲断裂になり、手術でも完全に治せないんです。早いうちに診断すれば手術成績も良く、7割は保存治療で良くなります。だから、『五十肩は放っておけば治る』ではなく、エコーを使えば瞬時に診断できるという認識が一般患者や医者の間に広がれば、もっと患者さんを救えます」と話し、早期診断の必要性をアピールしました。

【セミナー登壇者のコメント】

皆川洋至医師(城東整形外科)

「実は五十肩1人当たりの経済損失は、日本円にすると年間約100万円とも言われています(※参考文献)。 これを簡単に見過ごすことはできません」

岩屋孝彦氏(ジョンソン・エンド・ジョンソン)

「腱板断裂は、受診していただければ治療につながると思いますが、ほとんどの方が受診に至っていないという現状が大きな問題。患者さんに対する啓発が欠かせないと認識しています」

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ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー デピューシンセス事業本部
バイスプレジデント 岩屋孝彦

小林一博氏(コニカミノルタジャパン)

「私どもコニカミノルタジャパンは、画像診断の機器を扱っており、腱板断裂などの疾患を“見える化”していくのが役割。画像のクオリティーを上げ、QOLの向上に向けて取り組んでいきます」

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コニカミノルタジャパン株式会社 ヘルスケアカンパニー プレジデント 小林一博氏

肩の違和感をサイトでチェック

それでは、私たちは肩がどういう状態の時に、医療機関に行けばいいのでしょうか?

「水平より上に、腕を挙げることができない」
「肩だけでなく、二の腕(上腕)にも痛みがある」

など思い当たる節があるかもしれませんね。これは、腱板断裂の疑いがあるかを確認する「セルフチェックシート」の一部。

腱板断裂セルフチェックシート

整形外科領域でも先進医療を提供する同社は、さまざまな疾患啓発活動を行っています。腱板断裂については、一般向けにサイト、カタログや啓発ビデオなどを制作。患者さん向け疾患啓発イベントや、医療関係者に向けたワークショップなども開いています。

東北大学の試算(2011年)によると、肩の腱板断裂の国内の患者数は、自覚症状のない人も含めて推定約600万人。そのうち治療を受けた患者は約6万人に過ぎないとされています。同社の調査で、肩の腱板断裂を「具体的に知っている人」は9.1%、「聞いたことがある人」は14.8%で、8割弱がよく知らないという実態も明らかになりました。

同社のサイトでは「セルフチェックシート」をダウンロードできるほか、わかりやすく解説したムービーや、肩の専門医*がいる施設リストをはじめ、腱板断裂手術を実際に受けて元気を取り戻した患者さんのストーリー(動画)をご覧いただけます。ご自身やご家族で肩に違和感がある人がいるという方は、チェックしてみるのはいかがでしょうか。

*肩疾患の治療実績がある日本整形外科学会所属の整形外科専門医を指します。

啓発サイトはこちら

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※参考文献
Efficacy and cost-effectiveness of physiotherapy following glenohumeral joint distension for adhesive capsulitis: a randomized trial.
Randomized controlled trial
Buchbinder R, et al. Arthritis Rheum. 2007.

Impact of adhesive capsulitis and economic evaluation of high-grade and low-grade mobilisation techniques.
Randomized controlled trial
van den Hout WB, et al. Aust J Physiother. 2005.

特集/肩関節傷害診療の真髄 Ⅳ.五十肩(凍結肩) 保存療法 ―サイレント・マニピュレーションを中心に―
皆川洋至
MB Med Reha No.157:85-90, 2013

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