手術で欠かせない止血という処置。そのクオリティは医師の手技ばかりでなく、縫合糸や電気メス(モノポーラ)/バイポーラ、「血管シーリングデバイス」と呼ばれる器具によっても左右されます。ジョンソン・エンド・ジョンソンの血管シーリングデバイスは、130年以上の歴史を持ち、革新的な製品開発で手術の発展に貢献してきました。安全で的確な止血をサポートする製品を医師に提供し、ますます高度化・多様化する医療現場を支えています。
手術および出血部位や組織損傷部位からの出血の処置に欠かせない止血。この止血に使われているのが、縫合糸と呼ばれる手術用の糸やステイプラー、超音波メス(超音波凝固切開装置)、アドバンスドバイポーラなどのエネルギーデバイス、止血材などの医療機器です。縫合糸とステイプラーは血管を圧迫することで止血しますが、超音波は刃の振動で、電気メスやレーザーは熱でタンパク質を固めて止血します。止血材は、特徴的な素材や構造で迅速な止血をサポートします。
これらの止血製品の中で、縫合糸は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの創立当初から取り扱っており、現在に至るまで縫合糸表面に細菌がコロニー形成することを阻害するように加工された抗菌縫合糸の開発などの技術革新で、医療現場からの声に応え、信頼を集めてきました。そのほかの止血デバイスもグローバルで研究開発を進め、さまざまな部位、術式に対応する製品を上市しています。
止血の方法に多様な選択肢があることは、手術の安全性や質の向上、術後合併症の予防、回復の促進など、多くのメリットを生み出します。例えば、超音波メスと電気メス(モノポーラ)/バイポーラはどちらも組織の切開と止血ができるデバイスですが、前者は刃の振動により、後者は熱により止血を行います。どのデバイスが使われるかは医師の裁量によりますが、併用されることもあります。いずれのデバイスも熱を発生させ周囲組織にダメージを与える可能性があるため、神経や重要臓器の近傍で出血した場合には、止血材による止血を選択することもあります。
患者さんの病態に最適なデバイスを選択することによって、手術の精度と安全性はいっそう高まり、術後の患者さんの生活の質(QOL)向上につながる可能性があります。
また、超音波メスについては、日本人医師にヒアリングを行い、そこから得た意見や要望を米国本社の研究開発チームに伝えることで、より日本人医師の手にフィットし、操作しやすい製品を提供することにも力を入れています。
医学の進歩によって、さまざまな病気の治療成績が向上し、超高齢社会、「人生100年時代」が実現しました。その中で手術は、「救命」だけでなく、手術後の「生活の質(QOL)」の維持・向上が重視されるようになっています。手術後の生活の質(QOL)の維持・向上には、身体機能の温存、術後合併症の予防、早期離床などがポイントとなります。
また、超高齢社会では、一生のうちに複数回手術を受ける人も少なくありません。たとえば、初回手術で組織が癒着してしまうと、2回目以降の手術が難しくなり、手術時間が長くなる原因にもなります。つまり、最初の手術をいかに身体に負担をかけずに行えるかが重要なのです。
その実現には、初回手術時の的確な止血や微小出血に対応する高い機能と操作性を併せ持った止血製品の選択が鍵となります。
医療現場で必要とされるデバイスを提供し、医師のリアルな声に耳を傾け、よりよい製品開発に生かせること、そして最適なデバイス選択、使い方などの情報をきめ細かく届けることを目指し、今後も人生100年時代を支える、より機能的で身体にやさしい止血ソリューションを追求していきます。