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ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー

デピューシンセス事業本部
骨粗鬆症患者へのセメント注入型椎弓根スクリューの使用が
外科的固定性に加え臨床的にも有効であることが示唆、再手術率低下で予後QOLに寄与
~脊椎固定術で用いるスクリューの違いと再手術率に関するメタ解析の研究論文で示唆~
骨粗鬆症患者へのセメント注入型椎弓根スクリューの使用が
外科的固定性に加え臨床的にも有効であることが示唆、再手術率低下で予後QOLに寄与

~脊椎固定術で用いるスクリューの違いと再手術率に関するメタ解析の研究論文で示唆~

2022年10月20日

日本では、人口の急速な高齢化により骨粗鬆症の患者数が増加しており,約1300 万人1)いるといわれています。骨粗鬆症によって骨折が生じやすくなり、要介護状態や寝たきりの原因となってしまうこともあることから、その対策が社会的に重要な課題となっています。そのような中、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニーでは、骨粗鬆症に対するさまざまな取り組みを行っています。

当社の整形外科領域部門のデピューシンセス事業本部は、脊椎固定術2)で用いられるスクリュー3)の違いと再手術率との関係についてメタ解析4)を行った結果、骨粗鬆症患者へのセメント注入型椎弓根スクリューの使用により再手術率の低下がみられ、外科的固定性に加え臨床的にも有効であることが示唆された研究結果をまとめ、医学雑誌「Expert Review of Medical Devices」(2021年9月、Informa UK Limited発行)にて発表しました。

本研究は、胸腰椎の脊椎固定術を受けた患者を対象に、従来型椎弓根スクリュー(CPS: conventional pedicle screws)とセメント注入型椎弓根スクリュー(FPS: fenestrated pedicle screws)5)の臨床効果を比較するもので、患者を骨粗鬆症の有無で細分化し評価しました。スクリューの緩み、再処置率(再手術のうち、椎弓根スクリューの抜去若しくは追加の埋植を伴う再手術の割合)、再手術率(再手術のうち、椎弓根スクリューの抜去若しくは追加の埋植を伴わない再手術の割合) 主要評価項目として検証した結果、FPSはCPSに比べ、スクリューの緩みのリスクが低く、骨粗鬆症患者においては再処置率が減少することが示唆されました。

なお本研究は、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社による企業主導研究であり、慶應義塾大学医学部整形外科学教室の協力を得て論文化されたものです。


■本研究の概要

論文検索
方法
PubMedとProQuestデータベースを用い、2010年1月1日から2021年5月14日までに発表された論文の検索を行い、スクリーニングとデータ抽出を行った。
対象研究:single-arm(単群)試験、無作為化比較試験
対象集団
脊椎の不安定性を伴う18歳以上の患者
サブグループ: 骨粗鬆症患者
介入の種類
対象:FPSによる胸腰椎の脊椎固定術を受けた患者(セメントの有無は問わない)
比較対象:CPSを用いて脊椎固定術を行った患者(PMMAセメントを併用した場合を除く)
結論
FPSは、CPSを使用した手術と比較して、スクリューの緩みのリスクを低減し、骨粗鬆症患者における再処置率も低いことが示された。この結果から、FPSの使用は、特に骨粗鬆症を有する患者で、脊椎固定術におけるスクリューによる固定を達成するための効果的な方法であることが示唆された。
論文詳細
雑誌名:Expert Review of Medical Devices
論文タイトル:Comparison of clinical effectiveness of fenestrated and conventional pedicle screws in patients undergoing spinal surgery: a systematic review and meta-analysis
著者:Mitsuru Yagi, Mami Ogiri, Chantal E. Holy, Anh Bourcet
DOI番号:10.1080/17434440.2021.1977123
論文URL:https://doi.org/10.1080/17434440.2021.1977123(オープンアクセス)
備考
本研究は、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社による企業主導研究として、慶應義塾大学医学部整形外科学教室の協力を得て論文化したものであり、両者の役割はそれぞれ以下の通り:
  • 慶應義塾大学医学部整形外科学教室:プロトコルレビュー、論文原稿作成とレビュー
  • 当社:プロトコル原案作成、プロトコル審査、論文選定およびスクリーニング、統計解析、論文原稿作成とレビュー、論文投稿

■本研究の背景

骨粗鬆症の有病率と脊椎固定術の患者数との関連
骨粗鬆症を原因とする椎体骨折や脊柱の変形に伴う麻痺や疼痛に対する手術療法として、脊椎固定術が選択肢となります6)。脊椎固定術を受ける患者数は、年齢の上昇と共に増加傾向にあり1)、骨粗鬆患者の有病率6)と関連がみられます。骨粗鬆症等を原因とする症状に対し、脊椎固定術が必要である一方、脊椎固定術を行う際には骨粗鬆症による脊椎の脆弱性について考慮する必要があります。

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第4回 NDB オープンデータ、Yoshioka et al. International Journal of Epidemiology 2010;

39:988-995よりジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニーにて作成

骨粗鬆症等で骨強度が低下した患者に脊椎固定術を行うと、スクリューの緩みや抜けが起こりやすく、インプラント全体を保持できなくなる場合があるほか、骨癒合率の低下や、腰背部痛やロッド7)の突出による再手術が必要となる場合もあり、これらは脊椎固定術の課題であると考えられます。

参考)骨粗鬆症患者対する脊椎固定術について報告した21報の文献に基づくメタ解析では、解析対象症例の22.5%にスクリューの緩みが生じ(95%CI 10.8-33.6%)、骨癒合率は88.4%(95%CI82.3-93.5%)と報告されています8)


■ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー デピューシンセス事業本部長 渡代 隆介 コメント

超高齢社会の日本では、骨粗鬆症罹患者数は今後も増加することが予想されます。骨粗鬆症で骨質が低下した状態では、脆弱性骨折を起こす危険性が高く、骨癒合を目指した脊椎固定術においては、骨質の低下に起因したスクリューの緩みや抜けなどによる骨癒合不全をはじめとする術後合併症の発生により、再手術のリスクが高まります。再手術は、手術そのものに伴う患者さんの身体的および経済的な負担のみならず、手術や入院のために再度長期間にわたり寝たきりになる傾向があり、特に高齢の患者さんにとっては予後活動にも影響を及ぼす可能性があります。

本研究におきましては、慶應義塾大学医学部整形外科学教室の先生方をはじめ、サポートいただいた皆様に多大なる感謝を申し上げます。私たちはこれからも、外科手術製品やソリューションの提供のみならず、さまざまな研究成果やエビデンスに基づく治療の発展と社会問題解決への貢献を目指してまいります。 

ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニーは、今後も引き続き、医療従事者に信頼されるパートナーとして、超高齢社会における医療ニーズに対応する革新的な製品・ソリューションの提供を通じ、日本の医療の未来を形作り、質の向上を目指してまいります。

<注釈および参考資料>
1) 日本骨粗鬆症学会/日本骨代謝学会編骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
2) 脊椎固定術:脊椎にある椎骨同士をくっつける、すなわち骨癒合(こつゆごう)させることで、脊椎を固定して安定させる術式。自己採取骨を椎体の骨表面に置き骨癒合させる他、必要に応じて椎弓根(ついきゅうこん。英語名:ペディクル/pedicle)にスクリュー(注釈3参照)を挿入し、ロッド(注釈8参照)で連結して椎体間の固定力を高める。椎骨は主に、椎体と椎弓から成り立っており、椎体と椎弓をつなぐ箇所は椎弓根と呼ばれる。
3) スクリュー:手術で骨などを固定するために使用する医療用ネジ
4) メタ解析:過去の複数論文に関する統計学手法を用いた統合分析
5) セメント注入型椎弓根スクリューは、従来型椎弓根スクリューと異なり、スクリューにあけた横穴からセメントを挿入することで挿入箇所からのセメント溢れを防ぐことを目的とした設計となっている。
6) 第4回 NDB オープンデータ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221_00003.html)
7) ロッド:スクリューで止めることにより脊椎などを強固に固定する医療器具
8) Rometsch E, Spruit M, Zigler JE, Menon VK, Ouellet JA, Mazel C,et al. Screw-Related Complications After Instrumentation of the Osteoporotic Spine: A Systematic Literature Review With Meta-Analysis. Global Spine J. 2020 Feb;10(1):69-88.


【ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニーについて】

ジョンソン・エンド・ジョンソンの医療機器部門であるメディカル カンパニーは、人々が健康で幸せな人生を送れるよう支援しています。 1世紀を超えて培ってきた専門知識に基づき喫緊の医療課題解決に取り組みつつ、人々の医療体験をより良いものにするため、またより新しい治療水準の確立につながるよう、革新的な取り組みを行っています。外科、整形外科、および循環器科などにおいて、いのちを救い、世界中の誰に対しても、より健康な未来への道が開かれるよう手助けすることを使命としています。


<デピューシンセス事業本部について>
ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニーの事業部門であるデピューシンセスは、包括的な整形外科手術領域におけるポートフォリオを提供します。関節再建や外傷、頭蓋顎顔面、脊椎脊髄手術およびスポーツ医学診療領域を含むソリューションを提供し、世界中の医療制度に臨床的および経済的価値をもたらすと同時に、患者に対してより効果的なケアを提供することを目標としています。


<ジョンソン・エンド・ジョンソンについて>
私たちジョンソン・エンド・ジョンソンは、健康こそが豊かな人生の基盤であり、地域社会の繁栄と、発展を促す原動力であると考えています。 この信念に基づき、130年を超える長きにわたり、私たちはすべての世代の、人生のあらゆる段階の人々の健康を支えてきました。今日、世界最大級で広範な拠点を有するヘルスケア企業としての強みを最大限に活かし、世界中の誰もが、どこにいても、心身の健康と健全な環境を享受することができるよう、私たちは適正な価格でヘルスケアにアクセスできる、より健全な社会の実現に向けて努力しています。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、私たちのこころと科学の力、画期的な発想力を融合させ、ヘルスケアを飛躍的に進化させるべく取り組んでいます。


[本件に関するお問い合わせ先]
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー
コミュニケーション & パブリックアフェアーズ
Tel: 03-4411-7155
Email: press@its.jnj.com

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