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ストーリー
Innovation

「病のない未来」をデザインする
学生アイデアコンテスト

ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマは、「病のない未来」に向けてヘルスケアの課題に取り組む若きイノベーターを支援しています。

その一環として、2019年と2020年に日本の大学生や大学院生の皆さんを対象に、東京大学センター・オブ・イノベーション 自分で守る健康社会拠点や東京理科大学との共催で「病のない未来」アイデアコンテストを開催してきました。

今回は2019年に優秀賞に輝いたイノベーター2人のストーリーをご紹介します。

「カオイロ」でメンタルヘルスの異変を察知


メンタルヘルスに悩む人を救いたい


チャンドラ・ルイスさん

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顔色とメンタルヘルス

「日本に来て気づいたことは、労働時間の長さとメンタルヘルスの問題に悩む人の多さです」
こう語るのは、現在筑波大学博士課程に在籍するチャンドラ・ルイスさんです。インドネシア出身のチャンドラさんは、心の病を患う日本の友人の姿をきっかけに、顔認証技術などのテクノロジーを使ってメンタルヘルスの課題にアプローチできないかと考えるようになったといいます。

顔認証技術は飛躍的に進んでおり、カメラで個人を判別することは容易になってきました。ただし、現在の顔認証技術を駆使しても、人間の「顔色」は読み取れないといいます。この未知の領域の解明に挑戦しているのがチャンドラさんです。

チャンドラさんが考案したのは、K-Ring(Kは「顔色(Kaoiro)」の頭文字)というコンセプトです。耳に装着可能な輪っか型の単極脳波計信号計(single-channel EEG)で脳波を測定し、収集された脳波データと睡眠時間、体温、血圧、心拍数、そしてスマホを使用する際の顔認証を組み合わせることで、人の心の健康状態を数値化します。そうすることで、メンタルヘルスの異変に気付くことができるのではないかとチャンドラさんは仮説を立てました。


米国で確信「不可能を可能に」

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チャンドラさんがパートナーとともに考案したこの「カオイロプロジェクト」は、「病のない未来 アイデアコンテスト」で2019年9月、優秀賞を受賞しました。

受賞の記念として2020年2月、米国ジョンソン・エンド・ジョンソンのインキュベーションラボ(JLABS)に招待されました。サンフランシスコ、サンディエゴ、ボストン、ニューヨークの4都市にあるラボや拠点を2週間で駆け抜ける“弾丸ツアー”でしたが、この旅はチャンドラさんの研究者人生に決定的な影響を与えたといいます。

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「初めて会う人でも、アイデアが良ければ、その場ですぐに人を紹介したり、踏み込んだ議論をしたりする文化、スピードにも驚きました」

米国滞在中、チャンドラさんもプレゼンを行い、ラボのメンバーらとの議論を通じ、「不可能なことは何もない。それを可能にするのは私たち自身だということ」を確信したといいます。


社会実装目指して邁進

10代から睡眠やメンタルヘルス分野への興味を持ったチャンドラさんは、16歳で高等教育機関であるインドネシア生命科学国際研究所に所属。学生組織の研究開発部門のリーダーを務めました。アジア各国の大学を検討した結果、2016年に筑波大へ進学し、2020年と2021年にヤンセンでインターンシッププログラムに参加しました。

このコンテストや米国研修などをきっかけに、「カオイロプロジェクト」の肝である顔色の分析技術の課題を再認識したと語るチャンドラさん。感情を検出する測定機器はすでに様々な研究が進んでいることもあり、現在は顔色などの情報をより正確にデータ化し分析・数値化できるソフトウェアの開発に取り組んでいます。

「研究だけでなく、実用化、商品化を前提にした取り組みが重要です。社会のために役立てたいですね」


人類の社会課題に取り組むチャレンジャー


アプローチは「奇跡の木」の活用


本間有貴さん

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現在「ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス」(LSE)で、ソーシャルビジネスを学んでいる本間有貴(あさき)さんは、人類がいまだ克服できていない「栄養失調」という深刻な課題に独自のアプローチで取り組もうとしています。


「奇跡の木」との出会い

本間さんは、東京理科大工学部2年生のとき、アジアの熱帯地域に広く自生する植物「モリンガ」に出会います。モリンガは「奇跡の木」と呼ばれています。
抹茶のような味で輸出向けに主に粉末状で流通していますが、自生している発展途上国では食用として普及していません。本間さんは、このモリンガの地産地消を進めれば、途上国の栄養失調の解決につながり、さらには経済を活性化できると考え、起業を決意します。

本間さんは仲間とともにモリンガを使った商品開発や販売を手がける「More-ing」(モアイング)プロジェクトを旗揚げし、クラウドファンディングで資金を調達しました。その上で2019年3月、現地調査のためネパールに入りました。ネパールを選んだのは、モリンガの原産地域であることに加えて、依然として栄養課題が深刻な地域が多いという理由からでした。
しかし、簡単にはいきません。
「モリンガについて聞いたら、ネパールではそんなものは食べない、との答えが返ってきました。栄養についての概念を知らない人もたくさんいました」
コロナ禍もあり、生産拠点をよりビジネス環境に適していて日本人経営者も多いと感じたカンボジアに移転。2021年1月にはモリンガ入りクッキーのテスト販売にこぎつけ、好評を博しました。


アイデアコンテストで優秀賞

ネパール視察直後の2019年4月、本間さんはベトナムで開かれた世界最大規模の学生ビジネスコンテスト「Hult Prize」(ハルトプライズ)の世界地域予選に参加し、「モアイング」についてプレゼンを行っています。本間さんのチームは善戦しましたが、海外の学生たちの勢いに飲み込まれてしまい、「なぜ自分が途上国の栄養失調課題に取り組むのか」について自問自答しましたといいます。

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新たな気づきを得た本間さん。2019年9月、都内で開かれた「病のない未来 アイデアコンテスト」に挑み、モリンガをテーマにしたプレゼンで見事優秀賞に輝きます。会場ではモリンガ入りのビスケットを配り、審査員から「アプローチが面白い」と評価されました。
優秀賞受賞者として参加した米国ジョンソン・エンド・ジョンソン研究拠点をめぐる見学ツアーは、本間さんの未来を切り開くきっかけになったといいます。
「本当に刺激的で新鮮でした。インキュベーションセンターを中心に回り、バイオテックのラボや米国ジョンソン・エンド・ジョンソンの本社に行きました。スタートアップに関わるさまざまな方と意見交換ができました」

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学ぶことをやめない姿勢

「自分には戦略をたてて仮説を設定しPDCAを回していく上で『思考力』が足りない」
そう感じた本間さんは、栄養失調という課題をきちんと把握しアプローチするために、東京理科大卒業後、2021年4月に慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の修士課程に進学しました。さらに去年9月からは大学院を一時休学し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)に留学しています。
「ビジネスとソーシャルインパクトの両輪を回したい。開発学で先進的なイギリスで、ソーシャルビジネスの専攻があるLSEで学びたいと思いました」
高校時代、知人の同級生ががんで亡くなったことをきっかけに「人の命を救う」ことに関心を持つようになったという本間さん。
「人の命をいかに持続的に救うことができるか。これからもテーマです」
本間さんのチャレンジに終わりはありません。


「病のない未来」アイデアコンテスト

2019年と2020年に開催したアイデアコンテスト。年齢18 歳以上の、日本で学ぶ大学生・大学院生(学部・年齢・国籍は問わない)が対象。東京大学センター・オブ・イノベーション 自分で守る健康社会拠点、東京理科大学、ヤンセンファーマの共催。芸術、科学、医学、工学、建築、教育、スポーツ、哲学、IT、デザイン、コミュニケーション、経済、政治など、あらゆる分野の多様性に富んだアイデアを募集する。疾患の予防・撲滅・治療、医療制度の革新、健康意識の向上、新たな社会基盤の確立などを自由に考えてもらう。


J&Jのインキュベーションラボ「JLABS」

ライフサイエンス領域におけるインキュベーター施設。2012年にサンディエゴに設立され、現在では関連施設を含めると全世界に13拠点を展開する。アーリーステージのべンチャー企業や起業家を、初期段階からサポート並びに発掘することが目的。製薬、医療機器、デジタルヘルスを主要領域としており、研究施設の共有、教育プログラム、オペレーション面におけるリソースの提供などを行っている。