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半月板損傷(膝のスポーツ外傷)

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スポーツによる膝の痛み、我慢や放置していませんか?

スポーツによる膝のケガには、大きく分けて骨折・靱帯損傷・半月板損傷・軟骨損傷の4つがあり、このうちよくみられるのが、靱帯損傷と半月板損傷です。
近年では、積極的にスポーツに取り組む子どもとそうでない子どもの二極化傾向が指摘されており、運動不足による体力・運動能力の低下に加えて、過度な運動によるスポーツ傷害のリスク増加も懸念されています。さらに海外の文献では、1つのスポーツに特化するとケガのリスクが2倍以上になる可能性が示唆されています※1

また、膝の痛みはスポーツに限らず、日常生活動作でも起こります。高齢者の場合は加齢による身体の変化が原因で膝に痛みが生じることもあり、変形性膝関節症や関節リウマチ、痛風といった病気の可能性も考えられます。痛みを感じた場合は早めに医療機関を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが大変重要です。

※1: 出典「Brenner JS, COUNCIL ON SPORTS MEDICINE AND FITNESS. Pediatrics. 138(3): e20162148, 2016. 」

半月板損傷とは?

半月板損傷は、膝関節内にある半月板に亀裂が生じたり、欠けたりした状態です。若年者から高齢者まで発症し、慢性化すると変形性膝関節症を引き起こす可能性もあるため、適切な診断と治療が重要です。

半月板の役割
半月板は膝関節の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨です。内側と外側のそれぞれにあり、膝にかかる荷重を分散したり、衝撃を吸収したりする働きを持っています。

【膝関節の構造】

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半月板損傷の症状
半月板が損傷すると痛みが生じ、運動時痛や膝を曲げ伸ばしした際の引っかかり感といった症状が出現します。ひどい場合には膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなる“ロッキング”という状態になり、激痛のため歩けなくなることもあります。

半月板損傷の原因と病態について
半月板損傷は、体重が加わった状態で膝をひねったり、衝撃が加わったりすることで起こり、前十字靭帯損傷に合併することもよくあります。半月板損傷はスポーツ外傷でよくみられますが(外傷性)、半月板は加齢によって傷つきやすくなることから、高齢者ではささいなケガや日常生活動作でも損傷することがあります(非外傷性)。

半月板損傷は断裂の形によって次のように分類されます。断裂の形や部位によって治療法が変わります。

【半月板損傷の形態】

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半月板損傷の治療法

半月板損傷の主な治療法には、保存治療と手術療法があります。

保存療法
安静、抗炎症薬などの薬物療法、リハビリテーションなどを行います。保存療法を行っても痛みや引っかかり感、ロッキングなどの症状が続く場合には手術を行います。

手術療法
断裂部位の幅が1センチ以上と大きい場合や自然治癒が期待できない場合は、手術療法が検討されます。
手術法には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術の2種類があります。通常は関節鏡を使った鏡視下手術を行います。

◎手術法の選択について
半月板の辺縁3分の1には血管があり治癒が期待できるため、主に縫合術が選択されます。しかし中央の3分の2は血管がなく、一度損傷されると修復されにくいことから切除術が行われることが多いです。また、断裂の形態が横断裂・水平断裂の場合は切除術が選択されます。
【半月板損傷の血行】
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※半月板を切除すると関節軟骨の摩耗が増大するため、近年では血流がなく自然治癒が難しい部位や横断裂・水平断裂に対しても半月板縫合術が選択されることが増えてきています。

術後のリハビリテーションについて
縫合術の場合は縫合部位の再断裂が、切除術の場合は軟骨の摩耗により術後数年で軟骨損傷が進行する可能性があることから、リハビリテーションをしっかり行うことが大切です。
リハビリテ―ションを開始するタイミングや内容は、手術方法や損傷部位、切除または縫合部位・範囲によって異なります。半月板縫合術の場合は、屈伸動作や過度な力が加わることで再断裂のリスクが高まるため、松葉杖の使用やギプス固定により免荷(体重をかけない)や可動域の制限を3~4週間程度行います。

スポーツ復帰のタイミング
断裂の形や範囲などによって異なりますが、半月板切除術では約3ヵ月、半月板縫合術では約6ヵ月程度とされています。


ワンポイントアドバイス

治療の主流は、“切除”から“温存”へ
半月板切除術では、膝関節への衝撃を吸収し安定性を保持するという半月板の機能が失われるため、隣接する関節軟骨が摩耗して変形性膝関節症へ進行する割合が高いことがわかってきました。そのため近年は、可能な限り縫合術を選択して半月板を温存するという考え方が主流となっています。しかし実際には、現在行われる半月板手術約3万件のうち、92%は切除術が選択されています※2

変形性膝関節症は要介護や寝たきりとなる要因のひとつです。生涯を通じてスポーツを楽しむために、そして健康寿命の延伸という意味でも、変形性膝関節症の予防のため半月板損傷に対する温存治療が重要だと言えるでしょう。

※2:平成25年度厚生労働省社会医療診療行為別調査


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