情報には種類があり、主に一次情報・二次情報・三次情報の3種類に分けられます。
あなたが、とある番組のディレクターだと仮定しましょう。街角インタビューをすることになりました。街をあるいている一人の人に声をかけて取材をしました。これはディレクターにとって「一次情報」になります。今度は、ディレクターではなく、いち視聴者の立場で考えてください。この取材をもとにした報道ニュースは、視聴者からみると「二次情報」となります。
つまり、情報源から直接得た情報は「一次情報」となり、その「一次情報」がまとめられてさらに展開されると「二次情報」となります。ここまでくるとピンと来る方もいらっしゃると思いますが、「三次情報」は、さらに「二次情報」をまとめたものとなります。
「情報源からの近さ」という観点で考えると、「二次情報」や「三次情報」よりも「一次情報」のほうが、その情報の確からしさは高まって来ますが、健康や医療に関する学術情報においてはその逆のようで、松村氏が著書の中で、「学術的な資料に関しては、二次情報(ガイドラインやシステマティックレビュー)、三次情報(教科書)など、情報の次元が進むにつれて専門家の評価が加わることで信頼性が高まりますが、報道やSNSにおいてはそうではないことも多く、一次情報のチェックが不可欠です*1」と記しています。
●一次情報
情報源となる本人が実際に見たり、体験したり、データをとったりした独自情報
<報道やSNS>
調査や実験結果、アンケート結果、行動データ
<学術情報>
原著論文、臨床試験データ、疫学データ
●二次情報
一次情報をもとに解釈を入れたり編集したりしたもの
<報道やSNS>
新聞、テレビ、ニュース
<学術情報>
学会や専門家集団によるガイドライン、システマティックレビュー※
●三次情報
二次情報を、さらにまとめたもの
<報道やSNS>
キュレーションサイト、インターネット上のまとめサイト、出所不明な情報、SNSで流れてきた情報など
<学術情報>
教科書や参考書
*1引用:松村むつみ.自身を守り家族を守る医療リテラシー読本.翔泳社.2021年.
*2参照:松村むつみ.自身を守り家族を守る医療リテラシー読本.翔泳社.2021年.
※システマティックレビューとは、「対象の研究論文を過不足なく検索・収集し、類似した研究を一定の基準で選択したうえで、まとめること」(公益財団法人日本医療機能評価機構.”Minds ガイドライン ライブラリ”. 診療ガイドライン患者・市民向けQ&A.2022年1月27日.https://minds.jcqhc.or.jp/s/public_infomaiton_qa,
(参照日2023年9月27日)から引用)
コラム:情報の鮮度、根拠、信頼性
本コラムは、「中山健夫.健康情報は8割疑え!京大医学部のヘルスリテラシー教室.法研.2021年.」を参考に作成しました。
情報にも鮮度がある
食べ物や飲み物には賞味期限がありますが、情報にも鮮度があります。古い情報を得ても、今の状況とは変わってしまっていて、情報として意味をなさない可能性もあります。書籍やニュース記事などの情報は、その記事がいつ書かれたのか日付をチェックして、できるだけ新しい情報を入手するようにしましょう。
情報の“根拠”を意識する
情報にはその内容の根拠となる「情報源」があります。情報源が書籍や論文の場合には、「出典」、「引用」、「参考資料」として記載されます。この記載がない(または少ない)情報には内容が不確かなものも多いため、根拠となる情報源が記載されている情報を優先して見るようにしましょう。ただ、情報源自体の鮮度が古い場合もあるので、その日付(論文なら発表年月など)まで注意してチェックできるとなお良いでしょう。
信頼できる情報はどこに?
健康情報を調べたり、疾患の治療法を調べたりする際には、どのサイトを見ればいいのでしょうか?インターネット上で信頼できる情報を発信しているのは、公的機関のサイトです。インターネットで情報を検索すると、つい上位に表示されているサイトばかりを見てしまいがちですが、ニュースメディアや企業が発信している情報だけでなく、公的機関のサイトに掲載されている情報もチェックして大まかな内容を把握しながら、他のサイトの情報も見る方が良いでしょう。
健康や医療に関する公的機関のサイトにはどのようなものがあるのか、その例をいくつかご紹介します。下記公的機関サイトの他にも、各自治体のサイトや、各病院などの医療機関や国立の研究機関のサイト、各種学会のサイトなども信頼性の高いサイトといえます。
●e-ヘルスネット
(厚生労働省)
生活習慣予防に関する健康情報を各分野の専門家がわかりやすく解説しているサイト。医療や健康に関する専門用語の解説も掲載されている。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
●独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)
(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
厚生労働省所管の独立行政法人である医薬品医療機器総合機構が提供しているサイトで、医薬品の安全性情報や副作用情報のほか、一般の方向けの医薬品情報も充実している(医師から処方された医薬品を使用するときの注意点や薬に関するQ&Aなど)。
●Mindsガイドラインライブラリ
(公益財団法人日本医療機能評価機構)
質の高い診療ガイドラインの普及と医療者と患者さんの意思決定を支援し、医療の質の向上を図ることを目的に、診療ガイドラインに関する情報がデータベース化されている。一般の方向けに診療ガイドラインを平易に解説した情報も掲載されている。
●がん情報サービス
(国立研究開発法人国立がん研究センター)
がんと診断された際に知っておくべき治療のことや制度・サービスのことに加え、患者さんを支える家族に向けた情報や、がんの新しい治療法や現在行われている臨床試験の情報、がんの予防や検診など、がんにまつわる多岐にわたる情報をわかりやすく伝えている。
https://ganjoho.jp/public/index.html
●「健康食品」の安全性・有効性情報
(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)
健康食品の利用時に知っておきたい基本的な情報のほか、食品、栄養関連の最新のニュース、話題の食品や成分に関する情報も掲載されている。