Skip to content
Heart icon (animated) heart icon (static)
シェア

心原性脳塞栓症

シェア expand

脳梗塞とは

脳梗塞とは、脳の血管が詰まってしまい、脳に酸素や栄養が届けられなくなることで、脳の細胞が障害を受ける病気です。
からだの片側に力が入らなくなったり、言葉が話せなくなったりする症状が出たら、脳梗塞が疑われます。
発症したら、頭や頸(首)の血管の検査、心臓の検査、血液の検査などを行って、どのタイプの脳梗塞なのかを確認します。
 

シェア expand

 

心原性脳塞栓症と心房細動について

心原性脳塞栓症は、脳の太い血管が詰まってしまうことが多いため、脳梗塞の中でもっとも症状が重く、再発しやすいといわれています。
心原性脳塞栓症の原因としてもっとも多いのは心房細動という不整脈の一種です。
心房が小刻みに震えて血流がよどんでしまうため、血栓ができやすい状態になっています。
心房細動になると、動悸やめまいなどの自覚症状が出ることもありますが、約4割の方は無症状で、心電図検査でも見つからない場合があります。
自分で脈を測る習慣をつけましょう。
 

シェア expand

 

心原性脳塞栓症の治療

心原性脳塞栓症と診断された場合には、血管の詰まりを取るための治療が行われます。
詰まった血管の開通が早いほど、症状の回復や、後遺症も少なくなるとされており、早期に治療することが大切です。
血管の詰まりを取るための治療には、大きく分けて2つあります。
 
 

シェア expand

1 tPA 静注療法

tPA という血栓を溶かす薬を静脈に注射して、血栓を溶かして詰まりをなくす治療です。
脳梗塞が起きてから4.5時間以内に治療を開始できる場合に行われます。
 

シェア expand

2 脳血管内治療(血栓回収療法)
 
症状が出てから4.5時間以上経過している場合や、tPA 静注療法を行っても血栓が十分に溶解しなかった場合に行う治療です。この治療を行うとよりよい回復が期待できることが科学的に示されています。ただし、脳血管内治療が行えるのは、原則8時間以内です。
太ももの動脈から脳の血管の血栓の位置までカテーテルと呼ばれる細い管を挿入して、血栓をからめとったり、吸引して血管を開通させます。
 
 

シェア expand

 

脳梗塞の再発予防薬

心原性脳塞栓症を発症したら、再び血栓ができないように、抗凝固薬といわれる、血栓をできにくくする薬を予防のために飲む必要があります。
抗凝固薬は医師や薬剤師から、「血液をさらさらにする薬」と説明されることがあります。
自己判断で中止せず、医師の指示通りに服用してください。

抗凝固薬

1 DOAC(ドアック)
 
2011年から使用されている薬です。細かい調整も不要で、脳梗塞の予防効果が高く、出血が少ないといわれています。また、食べ合わせに制限がありませんが、薬代が高く、腎臓が悪い患者さんには使いにくいという課題もあります。
 
2 ワルファリン

日本でも50年以上使用されている薬です。薬代が安く、腎臓の悪い方にも使用は可能ですが、脳梗塞の予防効果はDOACにやや劣り、出血も多いことが知られています。また、採血をして細かな量の調整が必要で、食べ物との組み合わせなど気をつける必要があります。

 

シェア expand

 

リハビリについて

脳梗塞を発症した患者さんは、可能な限り元の生活に戻れるように、リハビリテーション(リハビリ)を行います。リハビリはできるだけ早く始めることが大切です。

寝たきり状態が長期化しないよう、医師、看護師、リハビリの専門スタッフなどが力を合わせて行います。

シェア expand

 

シェア expand

 

退院後に気をつけたいこと

心原性脳塞栓症は再発しやすい脳梗塞です。再び脳梗塞を起こさないためには、①抗凝固薬の継続 ②生活習慣の見直し ③心房細動の治療の3つがとても大切です。

 
1 抗凝固薬の継続
 
抗凝固薬は、飲んでいても、からだの変化が特に感じられない薬ですが、脳梗塞の再発予防に有効ですから、必ず医師の指示通りに服用してください。自己判断で中止したり、飲み忘れが多くなると、心原性脳塞栓症が再発する確率が高くなります。飲み忘れがないよう、時計や携帯電話のアラームを設定するなどの工夫をしてみましょう。患者さん自身での管理が難しい場合は、ご家族の方がサポートしてあげることが大切です。
 

シェア expand

 
2 生活習慣の見直し

高血圧をはじめとする生活習慣病などの治療と、食事、運動、喫煙など生活習慣を見直しましょう。特に、血栓ができやすくならないように、普段から水分をしっかりと摂ることが大切です。
 

シェア expand

 

3 心房細動の治療

心房細動が原因で心原性脳塞栓症を起こした場合は、脳梗塞再発予防薬(抗凝固薬)に加えて、不整脈である心房細動の治療を行うことが必要です。次のページから、心房細動の治療について説明します。

シェア expand

 

心房細動の治療について

心房細動を引き起こす原因となる病気やリスク因子の改善を行うとともに、心房細動そのものについての治療を行います。
心房細動が引き起こす合併症としては脳梗塞に加え、心不全などもあります。
自覚症状がなくても循環器専門の医師と相談しましょう。

expand

 

薬による治療では、血栓をできにくくする抗凝固薬に加え、以下の2種類の薬を検討します。

  1. 心拍数を整えるための薬[レート治療]
    心拍数が速くなりすぎないように調整します。
  2. 脈のリズムを正常にするための薬[リズム治療]
    心臓の異常な興奮を抑えて、動きを正常なリズムに整えます。抗不整脈薬といわれます。

 

根治を目指す心房細動治療

カテーテルアブレーション治療とは?

薬で十分な効果が発揮されず、動悸やめまいなどがある患者さんには、心房細動自体の根治を目指すカテーテルアブレーション治療が考慮されます。
 

シェア expand

 
 

カテーテルアブレーションとは?
 
電極カテーテルという筋肉に熱を加えることができる細長い機器で、心筋の一部に組織変化をおこし、(焼灼する、といいます)、心房の無秩序な電気信号の伝導を止める治療法です。心筋の一部を冷却・冷凍する治療も行われています。
検査を含めて3~6日程度の入院が必要ですが、治療自体は2~4時間程度で済みます。治療後は脈の状態が安定したら、日常の活動制限や運動制限はなくなります。
ただし、まれに心臓・血管が傷ついたり、心臓の中にあった血栓による脳梗塞や食道の障害が起きたりするといった合併症が発生することがあります。
 


Q1:どのような症状が出たら、再発を疑った方がよいですか?

A1:以下の症状が出た場合は、すぐに救急車を呼んでください。

expand

 

Q2:心房細動は自分で見つけられますか?

A2:脈を測ってみる習慣をつけることが大切です。手首の内側に指をあてて、脈を測ってみてください。不規則に乱れたり、脈が異常に速くなったりしている場合は、医師に相談してください。

expand

 


監修

済生会熊本病院 心臓血管センター
不整脈先端治療部門
奥村 謙 先生

兵庫医科大学
脳神経外科
吉村 紳一 先生

西湘病院
脳神経外科
竹内 昌孝 先生


Back to top