骨は新しく作られる「骨形成」と骨を溶かして破壊する「骨吸収」のバランスが保たれていることで、骨密度や骨量を維持しています。しかし、閉経後のホルモンバランスのみだれや老化などによってこのバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回るようになると、骨量が減少して骨質も低下し、骨がもろく、弱くなっていきます。WHO(世界保健機関)では、「骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義しています※1。骨の強度が下がる病的な変化が生じたことで、外からかかるわずかな力でも骨折する危険性が高く、骨粗鬆症による骨折は、骨粗鬆症の合併症であるといえます。
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骨粗鬆症があると、立った状態から転倒した程度、あるいはそれ以下のわずかな力でも骨折を起こすことがあります。骨折は、背骨を構成する椎体、脚の付け根にある大腿骨、膝から足首にかけての下腿骨、腕の骨(橈骨)の手首付近や肩の関節に近い上腕骨、肋骨などに起こりやすいことがわかっています。なかでも「椎体骨折は最も頻度の高い骨粗鬆症性骨折であり, わが国では 70 歳代前半の 25%,そして 80 歳以上の 43%が椎体骨折を有する 。しかも 70 歳以降では、 その半数以上が複数個の骨折を有する」と言われています※1。
骨粗鬆症は高齢者に多いため、骨折を合併することで動くことが難しくなると、身体機能の低下や運動機能、内臓機能への障害がみられるようになり、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)やQOL(Quality of Life:生活の質)が低下します。重症になると寝たきりになることもあるため、骨を健康に保ち、骨粗鬆症を予防すること、骨粗鬆症を発症した場合にも適切な治療を受け、骨折の合併を防ぐことが重要となります。
※1 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版より引用