「健康に自信がある」「忙しくて時間がない」そんな理由で健康診断を後回しにしていませんか?
健康診断は今病気かどうかを確認するためだけに行うものではなく、病気のリスクに気付き予防するためのものでもあり、あなたの人生をより豊かにする上で重要なツールです。改めてなぜ健康診断が必要なのか、受けることでどんなメリットがあるのか、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ統括産業医の岡原伸太郎先生へのインタビューをご紹介します。
A.健康診断は、自分の状態の変化に早く気付くことができる、優れた手段です。多くの病気は、早期発見できれば治せる可能性も当然高くなります。例えばがんなど、自分でも気付かないうちに進行してしまう病気は、痛みや不具合が出てから受診したのでは手遅れになってしまう場合があります。
いうなれば、健康診断は自分自身の健康への理解を深めるためのツールであり、正しいアクションを取るためのセンサーのようなものだと思ってください。
A.忙しい中でも、健康診断に少しの時間を使うことができれば、将来大きな病気になるリスクを減らせるかもしれません。将来の時間とお金の節約にもつながるでしょう。そう考えると、今の優先順位を少し見直してみる価値はあると思います。
また、健康管理は、仕事にメリハリをつけるため、あるいは趣味のパフォーマンスを高めるためなど、ポジティブな目標と結び付けて取り組むようにしましょう。それは、健康診断を受けるモチベーションにもつながると思います。
A.健康チェックには、「健診」と「検診」があります*1*2。健康診断の略である「健診」は、全般的な健康状態を幅広く検査するもので、法律(労働安全衛生法)によって実施が義務付けられている「法定健診(定期検診)」と任意の判断で受ける「任意健診」とに分けられます。職場の定期健康診断やメタボ健診は「法定健診」に当たるので、会社が費用を負担してくれます。人間ドックは、「任意健診」のため、費用は自己負担になることが多いです。
一方、「検診」は特定の病気を見つけるための検査で、がん検診や婦人科検診など、特定の疾患について検査します。「検診」は通常任意ですが、自治体が住民に対して提供しているもの、所属されている職場や健康保険組合が提供しているものなど、費用補助があるものもあります。
この「健診」と「検診」の違いを理解した上で、自身に必要なものを適切に活用しましょう。
A.まず、職場の健康診断は法律で定められているものなので、必ず受けるべきです。
がん検診は、厚生労働省が科学的な根拠に基づいて、各がん検診の推奨される対象者と検査項目、そして受診間隔を示していますので*3、がん検診を検討する際には、その指針に基づいて判断し受診すると良いでしょう。
人間ドックは、より詳細な検査が可能で、職場の健康診断やがん検診では見つけられないような健康リスクを発見できる可能性があります。自分の健康状態や家族の病歴、年齢などを考慮して、必要に応じて受診を検討するといいでしょう。
使い分け方としては、まず法定健診(職場の健康診断など)を基本として、自身の年齢や性別、既往歴、家族歴に応じてがん検診や人間ドックを利用するというのが一般的です。
大切なのは、自分の健康状態やリスクを理解し、それに応じて適切な検診を選択することです。分からないことや自分で判断がつかないことがあれば、かかりつけ医に相談してみましょう。
A.健康診断をきっかけに、健康に対する意識も生活習慣も大きく変わる可能性があります。自分の健康状態を知ることで、具体的な改善目標が立てられます。また、健康診断の結果をきっかけに、食生活を見直したり、運動を始めたり、ストレス管理に気を付けたりすれば、日々の生活がより活力に満ちたものになっていくでしょう。健康診断は病気を見つけるためだけではなく、より良い人生を送るための手段として捉えることが大切です。
健康診断は、あなたの健康を守る大切な味方です。「面倒くさい」「怖い」といった気持ちは誰にでもありますが、それを乗り越えて定期的に受診することで、より健康で充実した人生を送るチャンスが広がります。今日からでも、健康診断を前向きに捉え、未来の自分自身への投資として活用してみませんか?
*1 参考:厚生労働省.「e-ヘルスネット 健康用語辞典-健診」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-093.html
*2 参考:厚生労働省.「e-ヘルスネット 健康用語辞典-検診」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-094.html
*3 参考:厚生労働省.「がん対策情報 がん検診」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html