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【毎年健康診断を受けている方へ】
健康診断の結果を最大限活用するには

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自分の今の健康状態を知るために一番身近な方法、それが健康診断です。「職場で年に一度、毎年受けている」という方は多いと思います。しかし、健康診断の結果をより良い未来のために役立てている人は少ないでしょう。結果が「異常なし」であれば何も気を付けなくていいというわけではないのが健康診断。数値が基準値内に収まっていても前回と比べて変わり始めていたら要注意な場合もあります。診断結果をもとに、自分のリスクに気付き、日常生活で改善行動に移せるようになることが大切です。
年齢を重ねても健康で動ける体でいられるように、健康診断の結果を健康づくりに最大限生かす方法を、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ統括産業医の岡原 伸太郎 先生にインタビューしました。
 

Q.健康診断の結果の見方が正直よく分かりません。結果はどう解釈したらいいのでしょうか。

A.専門用語や数値が並んでいるので一見難しく感じるかもしれませんね。まず、結果には通常、各検査項目に対して判定がついています。
例えば、A(異常なし)、B(軽度異常)、C(要経過観察)、D(要精密検査)といった具合です。一つ一つの検査項目の意味まで詳しく知っておく必要はありませんので、まずはこの判定をしっかり確認してください。
ただし、この判定だけを見て安心したり、逆に過度に心配したりするのは適切ではありません。大切なのは、経年変化を見ることです。できれば同じ医療機関で継続的に受診し、過去の結果と比較することをおすすめします。
また、一つの検査項目だけを見るのではなく、関連する項目を総合的に見ることも重要です。例えば、血糖値、コレステロール値、血圧などは、総合的に見ることで、より正確に健康状態を把握できます。その方法として、自分の感覚や判断だけに頼らずに、産業医やかかりつけ医に結果を見てもらうことをおすすめします。産業医やかかりつけ医であれば、あなたの生活習慣や職業、既往歴、家族歴なども考慮に入れて、より個別化された結果の解釈やアドバイスをしてくれるでしょう。

 
 

【コラム】経年変化を見る際の注意点

健康診断の結果の中に、急激に変化している項目や、徐々に悪化している項目があった場合は注意が必要です。
例えば、心電図。致死的なリスクのある不整脈が急に見つかる可能性があります。それから、意外と見落とされがちなのが視力や聴力です。
これらは加齢とともに低下していきますが、急激な変化があった場合は要注意です。これらの機能は日常生活や仕事に大きく影響しますので、
経年変化を注意深く見ていくと良いでしょう。

  
 
 

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Q.毎年の健康診断の他に人間ドックも受けた方がいいですか?

A.毎年の健康診断に加えて人間ドックを受けることは、より包括的な健康管理を行うという意味では有益です。ただし、どんな検査がどれくらい必要かは個人の状況によります。年齢、性別、既往歴、家族歴、健康不安、経済的な事由(検査費用など)等を考慮して判断するとよいでしょう。例えば、40代以上の方や特定の疾患の家族歴がある場合は、数年に一度人間ドックを受けるのも一案です。
基本的には、毎年の健康診断をしっかり受け、その結果を経年的に見ることで、多くの健康リスクは把握できます。健康診断や人間ドックはあくまで健康管理のツールであり、結果をどう活用するかが鍵となりますので、結果を正しく理解し、必要に応じて医療専門家に相談するという意識(ヘルスリテラシー)が一番重要です。

 

【コラム】「健診」と「検診」、その違いを知っていますか?

健康チェックには、「健診」と「検診」があります*1*2。健康診断の略である「健診」は、全般的な健康状態を幅広く検査するもので、法律(労働安全衛生法)によって実施が義務付けられている「法定健診(定期検診)」と任意の判断で受ける「任意健診」とに分けられます。職場の定期健康診断やメタボ健診は「法定健診」に当たるので、会社が費用を負担してくれます。人間ドックは、「任意健診」のため、費用は自己負担になることが多いです。
一方、「検診」は特定の病気を見つけるための検査で、がん検診や婦人科検診など、特定の疾患について検査します。
「検診」は通常任意で、自治体や健康保険組合等が費用を補助することもあります。
この「健診」と「検診」の違いを理解し、自身に必要なものを適切に活用すれば、より効果的な健康管理が可能になります。

 

Q.健康診断の結果は家族やパートナーにも共有した方がいいですか?

A.家族やパートナーと結果を共有するのは非常におすすめです。お互いの健康に対する理解が深まるだけでなく、自分の大切な人に対して健康診断の重要性を啓発することができますし、ヘルスリテラシー向上にもつながります。
実は、「クロスオーバー効果」という面白い心理的現象があります。これは、個人の感情や態度が別の個人に伝播するというものです。つまり、あなたが健康を意識し行動することで、周りの人も健康に気を付けるようになる可能性が高くなるのです。

 

【コラム】日本の健康診断制度と私たちのヘルスリテラシーの低さに関連はあるか

実は、日本のように職場での一般健康診断を法律で義務化している国は、世界的に見てもそう多くはありません。
これは、日本の保健制度の素晴らしい点です。また、誰もが質の高い医療を受けられる日本の皆保険制度、医療体制は世界的にも高く評価されています。しかし、こうした素晴らしい環境には落とし穴(副作用)もあります。予防や医療が受けやすい環境だからこそ、私たち日本人には自身の健康を守ることに油断や慢心が生まれてしまう可能性があるのです。「どうせ会社が健康診断をしてくれる」「何かあっても病院に行けば大丈夫」という考えが、自分で健康を管理するという意識を弱めているのかもしれません。
実際に国際調査の結果を見ても、「日本人のヘルスリテラシーの自己評価は他国と比べて低い」「痛みなどの症状があっても我慢する人が他国と比べて多い」「医師に自分の症状を正確に説明できると回答した人が他国と比べて少ない」といったデータが出ています*3。これは、私たちが健康について自ら考え、行動する力を十分に育ててこなかった結果かもしれません。

 

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健康診断の結果は、単に病気を予防するためだけでなく、今の生活を生き生きとさせ、より良い人生のために活用することが大切です。
結果に何ら異常がなくても、仕事にメリハリをつけるため、あるいは趣味のパフォーマンスを高めるためなど、ポジティブな目標と結び付けて自分の体の状態を把握していきましょう。そうすることで、より積極的に健康管理に取り組めるようになりますし、それがモチベーション維持にもつながります。何をするにも「体が資本」です。健康診断をうまく活用して健康の土台をつくっていきましょう。

*1 参考:厚生労働省.「e-ヘルスネット 健康用語辞典-健診」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-093.html
*2 参考:厚生労働省.「e-ヘルスネット 健康用語辞典-検診」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-094.html
*3 参考:ジョンソン・エンド・ジョンソン メドテック.「人生100年時代 × デジタル社会の総合的なヘルスリテラシー国際調査(6カ国調査)」
https://www.jnj.co.jp/media-center/press-releases/20231208/pdf-03_summary

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