標準治療という言葉をお聞きになったことがありますか?「先端治療」、「先進治療」、「最新治療」など、「治療」に関する他の言葉も聞くことがあるかもしれません。 標準治療は、いろいろな疾患の「診療ガイドライン」をもとに、その疾患に対して提供される標準的な治療ですが、「標準治療」と聞くと、その日本語の言葉の響きから、「先進」や「最新」よりも劣っている、と感じられてしまうかもしれません。または、医療機関で「あなたの疾患に対して提供するこちらの治療は『標準治療』です」と言われたら、「ほかにもっと良い治療法があるのではないか」と思われるかもしれません。
実際に、「標準治療」以外にも治療がありますが、とても大切なことは、「標準治療」が、科学的なエビデンスに裏付けられた、現時点で考えられる「最良の治療」である、ということです。
ある疾患に罹患した場合、提示された治療以外の治療についても少し気になって調べたりすることもあるかと思います。今は、インターネット上でもたくさんの治療に関する情報を、比較的簡単に取得できるようになりました。
ただ、ネット上で見つかる治療が「標準治療」か、まだエビデンスが確立していない治療、本来は研究途中の治療法かといった点は、ぜひご確認ください。標準治療ではない治療法が、
(治療)選択肢の一つとして提供されるものの保険適用外のため高額な自己負担となる、といった場合もありますので、ご本人の気持ちが尊重されますが、できるだけ情報を収集することをおすすめします。
ご参考に、以下に国立がん研究センターがん情報サービス(国立研究開発法人国立がん研究センター)に掲載されている「標準治療」に関する説明をご紹介します。
標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療をいいます。
一方、推奨される治療という意味ではなく、一般的に広く行われている治療という意味で「標準治療」という言葉が使われることもあるので、どちらの意味で使われているか注意する必要があります。なお、医療において、「最先端の治療」が最も優れているとは限りません。最先端の治療は、開発中の試験的な治療として、その効果や副作用などを調べる臨床試験で評価され、それまでの標準治療より優れていることが証明され推奨されれば、その治療が新たな「標準治療」となります。
引用:国立研究開発法人国立がん研究センター.”国立がん研究センターがん情報サービス”.用語集.2021年1月21日.https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/hyojunchiryo.html, (参照日0223年9月27日)