超高齢社会の日本で増加傾向にあるのが、「骨粗しょう症」です。骨密度の低下と骨質の劣化で骨の強度が低下し、骨折しやすくなる疾患です。ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー(以下「ジョンソン・エンド・ジョンソン メドテック」)は「世界骨粗鬆症デー(10月20日)」に先立ち、10月上旬に記者向けトークイベント「親子で話す骨のこと」を開催しました。
ゲストに整形外科の専門家である中村雅也教授(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)と歌手の早見優さんを迎え、あらゆる年代で骨のための行動習慣を考える大切さを話し合いました。人生100年時代、いつまでも自分らしい生活を送るには、どんなことに気を付ければいいのでしょうか。イベントの様子をレポートします。
※イベントの内容をコンパクトにまとめたショート動画はこちら
※骨粗しょう症に関する情報はこちら
ジョンソン・エンド・ジョンソン メドテックは、多くの人がヘルスリテラシーを身につけ、主体的に医療、健康に関わり、行動する「力」をつけられるようサポートする「My Health, Myself」プロジェクトを推進しています。今回のイベントもその一環として行われました。
骨粗しょう症は、骨密度の低下と骨質の劣化により骨の強度が低下する疾患です。骨密度と骨質の両方、またはいずれかが低下することで骨強度が弱まり、骨折のリスクが高くなってしまいます※1。
厚生労働省の2023年調査によると、骨粗しょう症で治療を受けている患者さんは約130万人以上と、8年前に比べて2倍に増加しています。また、女性が7割以上を占めるという特徴があります※2。
歌手であり、母でもある早見さんは、数年前のご自身の骨折についてお話しくださいました。
「数年前に足を骨折したことがあります。自宅でちょっとしたことでソファから落ちてしまったのです。落ちた瞬間は大丈夫かなと思った程度の痛みだったのですが、みるみるうちに足が腫れてしまい、骨折していました。その時に、骨がこれほど簡単に折れるのかと驚きました」
早見さんの経験談を受け、中村教授はこう説明しました。
「『骨はずっと硬いもの』というイメージがあるかもしれませんが、実は古い骨が壊れ、新しい骨がつくられるという新陳代謝をしています。特に、女性の場合は、卵巣の機能と関係があり、ダイナミックに変化しています。また、骨折は痛みを感じるので自覚がありますが、骨粗しょう症は症状がないのが怖いところです。潜在的に進行してしまうので、みなさん関心を持ちづらい。これが一番怖いところです」
冒頭で紹介された、「骨粗しょう症で治療中の患者さんが8年前から2倍に増えている」という国のデータについては、「超高齢社会という背景に加え、最近『自分ももしかして骨粗しょう症かもしれない』と医療機関を受診する人が少し増えていることも影響していると思います。これまで潜在的だった方が、少し表面化してきたという印象です」と補足しました。
次に中村教授はスライドを使いながら、年代別の骨密度の変化について説明しました。
70代以上に骨密度の低下が起きることはよく知られています。特に女性は骨密度が低下しやすく、骨折のリスクが高くなります。要介護となる主な原因の第3位は「骨折・転倒」で※3骨粗しょう症に関する知識を得ることは重要です。
女性は閉経後に急速にエストロゲンという女性ホルモンの分泌が低下するため、骨密度が低下しやすくなります。
「実は人生で骨の量が一番増えるのが10代です。このときに骨量のピークをどれだけ高くできるかが極めて重要です」(中村教授)。
10代、20代の生活習慣や行動によってピーク時の骨密度は高くなることも低くなることもあり、その後の人生の骨密度に影響を与えると言われています。例えば10代のときの過度なダイエットや偏食、運動不足などの生活習慣は、骨密度が低下しやすくなります。若いときから骨に関する知識を身につけることが大切です。
また、10代、20代の骨密度の重要性について別のデータも発表されています。国内の大学では、20年以上にわたって女性の骨密度の追跡調査をしてきました。結果、20代で骨密度が低い人は、高い人と比べて、40代になった際に骨密度がより低下しやすいという結果が得られました。
(参考文献)The JPOS Study 近畿大学伊木雅之名誉教授、大阪医科薬科大学医学部玉置淳子教授
https://www.med.kindai.ac.jp/pubheal/jpos/
「10代、20代で『骨のための生活習慣』をしっかりしていれば、40代、50代になったときに効いてきます」
もう1つ、中村教授は骨を強くするために心がけたいポイントを紹介しました。
「日焼けが気になるかもしれませんが、紫外線は骨を強くするために欠かせないビタミンDの生成を助けます。短時間でも散歩などで適度に紫外線にあたることは重要です」
イベントでは、骨密度に影響を与える生活習慣について学べるクイズも出題されました。1問目は運動についてのクイズで、早見さんと会場の参加者と一緒に考えました。さて気になる答えは・・?
中村教授
「答えは(エ)階段の上り下りです。決して他の選択肢がだめというわけではありません。水泳は心臓や肺の機能にとって重要です。ただ、骨という観点で見ると、骨に加重する刺激が極めて重要で、ジャンプをする競技のアスリートは骨が強くなると言われています。『きょうはエレベーターを使わないで階段を使ってみよう』など、気軽にできる運動なので、ぜひ心がけてみてください」
階段の上り下りのほか、かかと上げやジャンプなど下半身に負荷をかける運動がよいと言われていますが、いずれも自身の体調にあわせて無理なくできる運動を継続することが大切です。
早見さんは自身の運動習慣についてこう話しました。
「スポーツジムに行って、週1回筋トレをしています。私は地下鉄に乗るのが好きで、かなり階段を上り下りします。去年から山登りを始めたのですが、普段の階段の上り下りで鍛えたおかげか楽々登れました」
※当社公式YouTubeで骨粗しょう症と転倒による骨折を予防するエクササイズも紹介していますのでぜひご覧ください。
続いて、食事に関するクイズも出題されました。
どれも健康的なメニューが並ぶなか、迷いながら早見さんも会場の参加者も回答を考えましたが、はたして答えは・・・?
中村教授
「実は答えは(イ)です。確かに(ア)の牛乳とヨーグルトにはカルシウムが入っています。ですが、食事は栄養バランスが大事です。(イ)の鮭は、腸でのカルシウム吸収を助けるビタミンDが魚のなかでも豊富です。豆腐でカルシウムとタンパク質を補給し、ほうれん草でカルシウムの定着を助けるビタミンKとマグネシウムを摂取する。一食だけではなく、何食かの食事をトータルで見て、栄養バランスをとることを考えましょう」
では、小さなお子さまで好き嫌いがある場合はどうしたらいいのでしょうか。
中村教授からは
「たとえば、苦手な食材を小さく刻んで見えないようにしてしまうなど、調理方法を工夫するのも1つかと思います」
とアドバイスをいただきました。
早見さんは「私も家族のおかげで好き嫌いなく育ったので、子どもたちの食事も、赤、白、黄、黒、緑の5色がそろうようなバランスよい食事を心がけました」と話しました。
人生100年時代を生きる私たちが、いくつになっても行きたい場所に行き、いきいきとした生活を送るために、骨について知ることはとても重要です。
「骨のことを10代、20代のときから考えなければ、これからの年代に影響があるとは知りませんでした。運動習慣に加えて、骨のための行動習慣も考えていきたいです」(早見さん)
「10代、20代で、早めに生活習慣に気を付けることは極めて大事ですが、決してなにかを始めるのに遅いことはありません。まずは、骨に関心を持っていただき、普段の生活習慣にヒントがあることを知ってください」(中村教授)
ジョンソン・エンド・ジョンソン メドテック オーソペディックス事業本部長の渡代隆介は、「当社の調査では、日本人は体調不良を感じても様子をみてしまう、適切な医療受診をできる自信がないといった不安を感じている方も多くいらっしゃいます。正しい知識と行動は、人生100年時代を生きる私たちにとって必要な力になります。痛みや不調がある際はもちろん、何か気になることがあれば医療機関を受診し、医師の先生とコミュニケーションをとり、適切な治療を受けていただき、より健康で充実した人生を送っていただきたいです。私たちも貢献するために活動を展開してまいります」と話しました。
ジョンソン・エンド・ジョンソン メドテックは、骨の健康についてまとめたサイトを開設していますのでぜひご覧ください。
https://www.jnj.co.jp/jjmkk/general/fracture/osteoporosis/details
<「My Health, Myself ―私の健康のために、私ができること。」 プロジェクトについて>
ジョンソン・エンド・ジョンソン メドテックでは、より多くの方がヘルスリテラシーを身につけ、主体的に医療・健康に関われるようサポートすることを目的として、「My Health, Myself ― 私の健康のために、私ができること。」 プロジェクトを推進しています。その取り組みの一環として、私たちはさまざまな疾患の啓発活動を行っています。
詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
URL: https://www.jnj.co.jp/jjmkk/my-health-myself
【参考文献】
※1.骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版「骨粗鬆症の概念および定義」
※2.厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」
※3.厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査の概況」 (Ⅳ介護の状況)
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html)