エビデンスレベルが懐疑的な商品や情報に関してであっても、「◯○専門家」といったような権威ある肩書きを持つ人が発する意見は、間違っていないように感じてしまいませんか?これはハロー効果と呼ばれる心理的な現象です。ハロー効果については、ラハムとフォーガスが著書で以下のように定義しています。
「It can be defined as the tendency of judges to assume that if a person possesses some known good or bad characteristics, their other, unrelated, and unknown characteristics are likely to be of similar valence (i.e. good or bad, respectively).
<邦訳:ある人物がなんらか良い、あるいは悪い特性を持っている場合、その人物の他の、その特性とは無関係な未知の特性も同様の(すなわち、良いあるいは悪いという)価値があると判断する傾向のことと定義される。>」*1
すなわち、ある人がある商品や情報に関して直結するような専門性を持っていなくとも、「もっともらしい肩書」を持っていれば、その人が発する情報は「その“肩書”と“同様の価値”を持つ」と、私たちが判断する傾向にある、ということになります。
思い返してみると、情報が正しいか否かの見極めが難しくなる同じようなケースに出くわしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最近では、SNSや動画サイト等を通じて様々な人が積極的に情報を発信するようになりました。生活、趣味、健康、その他さまざまなテーマに関して、「とっておきの情報」、「実は…」、「誰にも教えたくない…」、「…の真実を伝えます!」といった表現を使い、その道のプロフェッショナルを名乗る方々が魅力的に情報発信されています。皆さんが、ずっと知りたくても知れなかった情報も中にはあると思います。
ただし、その情報の確からしさまでは、判断するのは難しいかもしれません。
手軽にアクセスできる情報源が増えたことによって、より有益な情報も得られるようになりました。一方で信頼できる情報を得るためには、その情報の種類や鮮度も大切であることを忘れないでください。※セッション3「信頼できる情報を入手するためのポイント」も参照ください。
*1引用:Rüdiger F. P. (Eds), Cognitive Illusions: Intriguing Phenomena in Judgement, Thinking and Memory (Second edition). Routledge. 2022.