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Session2 - 05

ウェブやSNSでは思考が偏る(エコーチャンバー現象)

過去にはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などでニュース情報を取得していたものの、今やそれに加えてスマートフォンに入っているニュースアプリをスクロールして、ニュースをご覧になるかたも多いのではないでしょうか。

スマートフォンでニュースを確認するほうが、他のメディアでニュースを取得するより「知りたい情報」がスムーズに取得できている気がしませんか?例えば、政治の話題が好きな方は政治ニュースが、生活のお得情報が欲しい方はそういった情報が、以前よりもよく目にするようになっている、といった状況です。

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この背景として、インターネットの検索エンジンやアプリにおける「カスタマイズ機能」や「パーソナライズ機能」によって、自分の関心に合った情報が優先されて提示されるようになったことが挙げられます。自分にとって「見たい」「知りたい」情報のみが集まりやすくなり、自分の関心事以外の情報は排除されて提示されている可能性があります。自分の知りたい情報が簡単に入手できることは、とても便利なことですが、注意しておかなければならないことがあります。Cinelliらの下記の言及からも、ご自身の見たい、信じたいという情報以外が見えなくなってしまい、冷静な判断に支障がでる可能性があることです。

「We can broadly define echo chambers as environments in which the opinion, political leaning, or belief of users about a topic gets reinforced due to repeated interactions with peers or sources having similar tendencies and attitudes.

<邦訳:エコーチャンバーとは、あるトピックに関するユーザーの意見、政治的傾向、信念が、同じような傾向や態度を持つ仲間や情報源と繰り返し交わることによって強化されていく環境、と大まかに定義できる。>」*1

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こういった環境の中でも、SNSは特筆すべき環境でしょう。ご自身のフィードは、これまでの検索履歴や特定の投稿に反応した履歴をもとにどんどん調整されていきます。そうすると、自分の反対の意見が集まらなくなってくることも起こりえるのです。さらにSNSは、目の前に相手がいるわけではないのですが、人とネットを介して対話をしている環境でもあり、自分の意見へのリアルな反応として蓄積されていきます。特にSNSではこういった思考の偏りも起こり得るのだとあらかじめ知っておけば、そこで交わされる意見も冷静に受け止めて判断することができるでしょう。

*1 引用:Matteo C., Gianmarco De F. M., Alessandro G. & Michele S. The echo chamber effect on social media. Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America, 118(9), e2023301118, 2021.


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