【登壇者】


医薬品産業・ベンチャー等支援政策室 室長



「QFC開催で、イノベーションエコシステムの構築に貢献したい」

冒頭、Johnson & Johnson Innovative Medicine(法人名:ヤンセンファーマ株式会社)代表取締役社長 關口修平が「日本の高齢化社会が抱えるアンメットメディカルニーズに取り組む、イノベーション技術やアイデアの支援・育成を目的にしています」とQFCの意義について説明。QFCを通してヘルスケア分野でのイノベーション推進、イノベーションエコシステムの構築に貢献したいと話し、産官学の連携を呼びかけました。

続いて厚生労働省の医療系ベンチャー振興推進会議の座長を務める本荘修二氏が登壇。厚労省のプロジェクトチームがまとめたヘルスケアスタートアップの振興・支援に関するホワイトペーパー*1を紹介しました。
本庄氏は「日本のスタートアップの潜在力は非常に高い。一方で、ヘルスケア領域のスタートアップの創設数は少なく、成功事例が限定的なので、育成の仕組みづくりが急務です」と語りました。
国を挙げてベンチャー支援 医療系ポータルサイト「MEDISO」活用も

ラウンドテーブルでは、産官学・スタートアップそれぞれの立場で意見交換が行われました。
政府からは、厚生労働省でベンチャー支援政策などを担当する藤井大資氏が登壇。
「ベンチャー支援は、日本政府としても強く取り組んでいます。スタートアップの課題は、人材やお金が集まりにくいこと。特に医療系は、法規制や医療保険、薬価、診療報酬といった特有の壁があります。このため、政府は医療系ベンチャーを総合的にサポートするポータルサイト・MEDISO*2を活用し、医療系に特化した支援をしています」と、紹介しました。
QFC受賞者ら「メンタリングでビジネス化への不安が払拭された」

スタートアップ・アカデミアからは、過去のQFC受賞者・ファイナリストが、QFCで得た知見とビジネスチャンスを語りました。QFCの受賞者に選ばれると、世界にあるJLABSの利用権や、メンタリングなど、ビジネス化へのさまざまな支援を受けることができます。
エクソソームの研究で、The NAM Healthy Longevity 2022 QFCを受賞した、東京大学先端科学技術研究センター教授星野歩子氏は「賞金以外にも、JLABSでメンターシップを受けることでビジネス化への不安が払拭されました」とQFCの恩恵を語りました。

シンガポール開催のQFCでファイナリストになった、ジェリクル社の増井公祐CEOは「海外市場へ挑戦する上で、グローバル企業であるジョンソン・エンド・ジョンソンのサポートは強力です。海外での医療機器展などを紹介していただき新しい機会に結び付きました。私自身、英語はそれほど話せませんが、気持ちがあれば片言でも伝わります。ぜひチャレンジしてほしい」と呼びかけました。
JLABSとは?
JLABSは、イノベーションのためのグローバルなライフサイエンス・ネットワークです。具体的には、ジョンソン・エンド・ジョンソンの海外のインキュベーションラボの専用デスクや、エキスパートによるメンター制度、専門知識、コミュニティ、業界とのつながり、起業家向けプログラムなどのリソースへのアクセスを新興企業に提供しています。
QFC、5つの領域で募集、助成金やメンター制度を提供

2024-25年度のQFCは2025年2月28日まで応募を受け付けています。オンコロジー(がん領域)、データサイエンスとデジタルヘルステクノロジー、ビジョン(眼科領域)、ロボティックとデジタルテクノロジー、バイオメドテックの5つの領域でヘルスケアイノベーションのアイデアを募集します。コンテストの選出チームには、最大総額20万ドルの助成金、J&Jアジア太平洋地域にあるJLABS(インキュベーションラボ)でのバーチャルアクセス、エキスパートによるメンター制度の提供を受けられる可能性があります。

J&Jの楠淳は「メンタリングなどを通し、製品化を意識したシーズの磨き方について、ジョンソン・エンド・ジョンソンの研究者がノウハウを示し、サポートします。多くの応募者を待っています」と、参加を呼び掛けています。
*1 厚生労働省 ヘルスケアスタートアップの振興・支援に関する ホワイトペーパー
*2 厚生労働省 医療系ベンチャー・トータルサポートオフィス MEDISO