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Well-being

脳卒中・脳梗塞とは?- 「脳」と「心臓」の両面から予防、人生100年時代 大切な人を守るために

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人生100年時代の今、健康的に人生を楽しむことは多くの人の願いです。その健康寿命を短縮する要因の1つである「寝たきり(要介護5)」原因の第1位が、「脳卒中」だと知っていますか?(※1)

脳卒中とは、英語で「Stroke(ストローク)」と呼び、脳の血管が閉塞または破綻し、卒然あたる(突然あたる、中気になる)脳血管疾患の総称(※2)です。今後、脳卒中の患者さんはさらに増加していくと予測(※3)されています。脳卒中はご高齢の方に多い病気で、ご高齢の方が増えていくということと深く関連(※2)しています。

「正しい知識を持ち、まわりの人とともに、大切な人の命と生活を守ってもらいたい」

そんな思いから、医療機器を扱うジョンソン・エンド・ジョンソン メドテックでは、「世界脳卒中デー」に合わせて筑波大学医学医療系 脳神経外科 脳卒中予防・治療学講座 松丸祐司教授と東京ハートリズムクリニック 桑原大志院長をお招きしてオンライン上で講演会(※4)を行いました。その中から、脳卒中の種類や原因、初期症状、脳と心臓の両面から「大切な人を守るため」の脳卒中予防ポイントをQ&A形式で紹介します。

(※1)出典:厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況-IV 介護の状況
(※2)下記、松丸裕司教授(脳卒中)の講演ビデオ内参照
(※3)出典:東京医科歯科大学 伏見清秀教授
(※4)講演会のビデオは、以下松丸裕司教授(脳卒中)と桑原大志院長(心房細動と心原性脳梗塞との関係性について)からご覧いただけます
 

脳卒中(講演)

心房細動と心原性脳梗塞との関係性について(講演)

 


脳卒中とは?~種類や症状、原因、予防と症状発生時の対処~

Q:脳卒中にはどのような種類や症状がありますか?

松丸祐司教授(以下松丸):脳卒中は、脳の血管が閉塞、または破綻して突然(卒然)倒れる脳の血管の病気、「脳血管疾患」の総称です。

脳卒中の種類には、脳の血管がつまる「脳梗塞」、脳の中で出血する「脳出血」、脳の表面に出血を起こす「くも膜下出血」があります。

脳卒中の種類

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「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」のイメージ図

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引用元:看護roo!

脳卒中は元気だった人が突然意識をなくしたり、麻痺が生じたりする症状で、死亡や、身体機能や言語機能が失われるなどの後遺症につながる可能性もある重篤な疾患です。

また、脳卒中は、現在日本人の死因の第4位(※5)であり、今後高齢化に伴いさらに増加することが見込まれています(※6)

(※5)出典:厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
(※6)出典:日本脳卒中学会 日本循環器学会 〈2016) 脳卒中と循環器病克服5か年計画

Q:脳卒中の原因は何ですか?

松丸:脳卒中の共通する危険因子として高血圧が挙げられます。また、糖尿病、不整脈、たばこ、アルコール、コレステロール、塩分・脂肪、運動不足なども影響します。寝たきりの状態を指す要介護5の主な原因の第一位は脳卒中です。予防には生活習慣の心がけも重要となります。

要介護5(寝たきり)の主な原因

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※熊本県を除く
厚生労働省「平成28 年国民生活基礎調査の概況」より作成


Q:脳卒中の予防方法はありますか?

松丸:脳卒中の予防は、生活習慣の改善(禁煙、運動、食事など)、危険因子の治療(高血圧、脂質異常症、糖尿病、心房細動)、抗血栓療法(血液をさらさらにする薬)を行うことが必要です。脳梗塞は再発しやすいので、薬の自己中断をしないこともポイントです。

脳卒中予防10カ条

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監修 脳卒中協会

Q:脳卒中の初期症状である麻痺などの異変を感じたら、何をするべきですか?

松丸:脳梗塞は発症してから数時間以内に急速に拡大します。まさに数時間の対応がその後の人生を決めることになります。夜間でも休日でもコロナ禍でも、すぐに救急車を呼んでください。日本人は非常にがまん強く、救急車を呼ばずに翌朝まで待ってしまう人がいますが、そうすると私たち医師は何もできなくなります。

あなたと大切な人のためにしてほしい3つのこと

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脳卒中の初期症状を見逃さない「ACT-FAST」という言葉があります。
FASTには、それぞれ以下のような意味が含まれています。

  • F=フェイス(顔の片側が下がりゆがみがある)
  • A=アーム(片腕に力が入らない)
  • S=スピーチ(言葉が出てこない、ろれつが回らない)
  • T=タイム(ただちに救急車を呼ぶ)

突然、顔、腕、言葉の症状が1つでもあれば一刻も早く救急車を呼びましょう。まさに「タイム・イズ・ブレイン」であることを知ってほしいと思います。

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脳梗塞の種類と心原性脳梗塞の原因となる心房細動(不整脈)

Q:脳卒中のうち脳梗塞が約3分の2を占めるという事ですが(※7)、脳梗塞の種類や心原性脳梗塞(心臓病が原因となる脳梗塞)の特徴は?

桑原大志院長(以下桑原):脳梗塞には3つのタイプがありますが、その中で「心原性脳梗塞(心臓に血栓ができて、それが脳に運ばれ、脳梗塞を起こすもの)」が最も重症です。また、心原性脳梗塞が、3つのタイプの中で死亡率が最も高く、自宅に退院できる割合が低いことが示されています。(※8)

(※7)出典:Takashima N, Arima H, Kita Y, Fujii T, Miyamatsu N, Komori M, Sugimoto Y, Nagata S, Miura K, Nozaki K.Incidence, Management and Short-Term Outcome of Stroke in a General Population of 1.4 Million Japanese– Shiga Stroke Registry. Circ J. 2017 Oct 25;81(11):1636-1646. doi: 10.1253/circj.CJ-17-0
(※8)出典:国循脳卒中データバンク2021編集委員会 「脳卒中データバンク2021」 中山書店

脳梗塞の種類

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脳梗塞の種類「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳梗塞」イメージ

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© Johnson & Johnson K.K. 2017
心房細動ケアガイド


Q:心原性脳梗塞の原因は何ですか?

桑原:脳疾患である心原性脳梗塞を引き起こす原因の75%は心疾患である「心房細動(※9)です。心房細動は、心拍、脈拍のリズムが完全に不規則になる不整脈のことです。
心臓は一定のリズムの電気信号に従い拍動し、血液を送り出していますが、心房細動になると異常な電気信号により、心臓の上の部屋である心房が震えるように動き血流が停滞してしまうことで、血栓(血液の塊)ができてしまいます。心臓にできる血栓は比較的大きいものが多く、血管を詰まらせる原因にもなります。

(※9)出典:奥村謙ほか JPN. J. ELECTROCARDIOLOGY Vol. 31 No. 3 2011

心房細動が原因となる心原性脳梗塞イメージ

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© Johnson & Johnson K.K. 2017
心房細動ケアガイド

心房細動になると、多くの人は動悸、息切れ、めまいを自覚します。しかし、心房細動が慢性的に続いている慢性心房細動の40%は無症状です。

症状の有無に関わらず簡便に早期発見するためには、自己検脈が有効です。手首の内側の親指側に3本の指をあてて脈を取り、規則正しく打っていれば正常です。不規則に乱れている場合は心房細動の疑いがあります。また、健康診断による心電図や、最近では、ウェアラブルデバイスの家庭用心電計などがあります。これらを活用する方法もあります。


心房細動ケアガイド THE MOVIE


Q:心房細動の治療のポイントは何でしょうか?

桑原:心房細動の治療方法は 、薬物療法(抗不整脈薬)とカテーテルアブレーション(カテーテルを太ももから入れて心臓を焼く)が主となり、ここでもポイントはやはり早期の治療です。その後の重大な合併症も早期治療で抑制できます。心房細動は脳梗塞を引き起こす可能性が高くなります。脈拍のリズムが乱れたら、医療機関を受診することが極めて重要です。

*この企画は、「世界脳卒中デー」に合わせて、ジョンソン・エンド・ジョンソンの従業員やその家族友人を対象に2021年10月27日に行ったオンライン講演会の内容をもとに再構成したものです。内容は、登壇者の筑波大学附属病院 脳卒中科 松丸祐司教授と東京ハートリズムクリニック 桑原大志院長に監修いただきました。


10月29日の「世界脳卒中デー」に合わせた疾患啓発施策

ライトアップ作戦

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10月28日、29日の2日間にわたり、神奈川県川崎市にある当社の医療従事者向けトレーニング施設「ジョンソン・エンド・ジョンソン インスティチュート 東京」をインディゴブルー(鮮やかな藍色)にライトアップしました。インディゴブルーは脳卒中の啓発カラーです。


救急隊員や医療従事者の連携強化とチーム医療の質向上を支援

10月18日には「横浜西部地区における脳梗塞急性期治療の取り組み」をテーマにしたオンラインセミナー(ウェビナー)を開催しました。救急隊と受け入れ病院の連携を目指したもので、救急隊員、救急救命士、看護師、医師を対象に救急処置の実演が行われました。横浜市消防局、横浜栄共済病院、湘南鎌倉総合病院、横浜医療センターから担当者らが参加し、それぞれの知見を共有しました。

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脳卒中は、発見から搬送、治療までをいかに迅速に、適切に行うかが救命や予後の分かれ道となります。だからこそ患者さんの搬送を担う救急隊員と医療機関の救急救命士の知識向上と、搬送前に優先順位を判断するトリアージの技術が欠かせません。

本セミナーでは、救急隊と医療施設の連携とトリアージ技術の向上を目指して、救急隊員や救急救命士、医師、看護師を対象に、情報提供と交流の場を提供しました。所属先が異なる、他職種のみなさんが顔の見える関係を作るきっかけの場を提供していくことも、脳卒中治療や予後成績向上につながる重要な役割だと考えています。

今後も「患者さんによりよい脳卒中治療を提供したい」と願う医療従事者の想いに応え、「脳」と「心臓」の両面から、患者さんや医療従事者、地域社会への支援を続けていきます。

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