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Well-being

治療と仕事の両立できていますか 上司と部下それぞれが伝えることとは

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「病気になっても治療と仕事を両立したい」。少子高齢化が進む日本では、高齢の労働者が増え病気を治療しながら働く人が今後も増えると推測されています。また病気を抱えて就労する人の9割超が就労継続を希望しているという調査結果もあります。

ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループの医薬品部門であるヤンセンファーマは、治療と仕事の両立支援においては、上司と部下のコミュニケーションが鍵だと考えています。ヤンセンは今回、上司と部下の対話プログラムを独自に開発し、このプログラムを用いて社内で上司と部下の対応を学ぶワークショップを開催しました。どんなやり取りがあり、参加者はどんなことを学んだのでしょうか?


休職制度があっても退職してしまう人がいる

ワークショップでは最初にジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ統括産業医の岡原伸太郎が、治療と仕事の両立支援の現状や、上司の役割について説明しました。

厚生労働省の調査によれば、病気を抱える労働者の92.5%が就労の継続を希望*1しており、現在仕事をしていない場合でも、70.9%が就労を希望しています*1。一方で、岡原医師は病気による休職制度が社内にあっても、中には利用せず退職する人がいると説明した上で「大切な人財が能力を十分に発揮できず、退職してしまうことは企業にとって大きな損失です。はじめから諦めるという選択ではなく、本人や家族、職場、社会にとってより良い選択を話し合い、作っていくことが治療と仕事の両立支援です」と話します。

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諦めることをデフォルトにしない まずは相談する

両立支援において重要なことの1つが「まずは相談する」こと。治療をしなければならないからと最初から仕事との両立を諦めることをデフォルトにしない。
そのために「つながる・相談すること」が大切です。

岡原医師は治療と仕事の両立支援において、上司であるマネージャーの役割について以下のように説明しました。

そのためには、マネージャーが部下とつながる環境をつくること。心理的安全性の高い関係性を築くことが大事なポイントです。また上司が部下に対し、上司以外にも同僚や産業医、人事など、誰かとつながる環境や機運を醸成しておくことも求められます。

そして実際に部下から相談を受けた時に、どう対話するかです。ワークショップではマネージャーの具体的な役割や対話の方法を学ぶために、ジョンソン・エンド・ジョンソンの社員がシミュレーションを行いました。

シミュレーションでは①病気になった部下が上司に両立支援について相談する場面、と、②部下が復職する際の上司との面談の場面、この2つを想定しました。参加者は2人1組になり、上司と部下の役になって対話します。


部下の希望を全て叶えるのはいい上司?

① の部下が病気になったケースでは、部下に寄り添わない上司の言動に部下役の参加者から「突き放された気持ちになった」という声が上がりました。

一方で、部下に寄り添いすぎる上司も良くありません。部下の希望を全て叶えるのが、必ずしも良い結果には繋がりません。その理由について岡原医師は「部署の他のメンバーや上司自身の業務量が長期にわたり増えることが想定され、持続可能なサポートが難しくなる場合があるからです」と解説します。

そして、支援する側である上司は評価や指導するのではなく、適切に寄り添うことが重要です。また上司だけが一人で問題を抱え込むのではなく、状況に応じて産業医や人事などを交えて話し合うことも必要です。


部下は「できること、できないこと」を明確に伝える

一方、部下の側にも求められることがあります。②の部下が復職するケースでは、部下が自分の状況を明確に伝えられずに、上司が適切なアドバイスができないという状態が散見されました。上司役になった社員は「部下が自身の説明に消極的になる中、自分も聞きたいことを聞けずに気まずい雰囲気になりました。どんな声をかけたらいいのか迷いました」と話します。また「新しい働き方を提案しにくい」といった意見もありました。

部下は自身の健康状態や治療の状況を具体的に把握し、自分ができること、できないことを予め整理してから上司に伝えることが大切です。

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治療と仕事の両立支援に絶対の正解はない 持続可能な支援を

「治療と仕事の両立支援に絶対の正解はありません」。岡原医師はこう説明します。

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多くの管理職から「上司として何をしたらよいか分からない」「正解は何か、どんなことをしてはいけないか」といった相談を受けるといいます。「疾患や重症度、治療内容によって仕事上困ることは変わります。また、職場の忙しさ、チームの人数、他のメンバーの状況など、さらに家庭の事情など多くの要素が絡むため、一概にこれが絶対の正解というのはありません」

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治療をしながら仕事も続けたいと願う社員を含めた関係者それぞれに、want(したい)、can(できる)、should(したほうがいい)に範囲があり、何もかもが無制限にできるわけではありません。対話を通して本人や周囲ができることを出し合い、その中で持続可能な支援体制を築いていくことが求められます。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、今後このプログラムを社内だけではなく社外にも提供することを検討しています。

*1 平成25年度厚生労働省委託事業 治療と職業生活の両立等の支援対策事業 調査結果

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