- 40〜50代の目の不調は、なぜ起こる?~更年期・加齢が重なりやすい時期~
まとめ:更年期世代の目の不調は、ホルモンの低下、加齢、目の病気など複数の要因が重なって起こることがあります。 - 更年期世代にみられる目の不調 - 老眼・ドライアイなど
まとめ:近くが見えづらい老眼と、乾き・ぼやけを招くドライアイは代表的な不調です。症状や起こる場面を知ることが対策の第一歩です。 - 見えづらさを我慢すると、生活にも仕事にも影響する
まとめ:見えづらさを我慢してPC作業などを続けると、眼精疲労、肩こり、だるさにつながることもあり、仕事の効率や生活の質にも影響します。 - 見た目を変えずに老眼対策ができる、遠近両用コンタクトレンズという選択肢
まとめ:見え方や目の状態に合う老眼対策を選び、目の乾きや疲れを軽減する日常の工夫を取り入れましょう。 - 更年期世代の目の不調に関するよくある質問
40〜50代の目の不調は、なぜ起こる?~更年期・加齢が重なりやすい時期~
40〜50代の目の不調は、単一の原因ではなく、複数の要因が重なって起こることがあります。
まず、この時期は女性ホルモンが低下する時期です。更年期障害は、エストロゲンのゆらぎや減少*1が背景にあるとされています。
出典:厚生労働省(女性の健康相談に関わる方向け)更年期世代の女性の健康支援に関する 学習資材
40〜50代は老眼やドライアイといった加齢にともなう目の変化が出やすくなる時期でもあります。涙の量や質が変化したり、目の表面の状態が不安定になったりすると、乾きや違和感だけでなく、見え方がぼやける、ピントが合いにくいといった不調を感じることがあります。
また、PCやスマートフォンの長時間使用も見逃せません。画面を見続けていると、まばたきの回数が減り、涙が蒸発しやすくなります。その結果、目の乾きが強まり、夕方になると見えづらさや疲れ目を感じやすくなります。
根岸先生らの研究では、女性では46〜55歳の年齢層で眼精疲労やまぶしさやかすみ目などの視覚症状、ドライアイ症状が目立つ傾向*2が示されています。
更年期世代にみられる目の不調 - 老眼・ドライアイなど
「近くが見えづらい」「夕方に疲れる」――老眼によってピント調節力が弱まってきた可能性
老眼とは、年齢とともに近くにピントを合わせる力が低下する、自然な目の変化のこと。病気ではなく、誰にでも起こりうるものです。
若い頃は、遠くから近くまで無意識にピントを合わせることができます。しかし40代半ばごろからは、手元にピントを合わせるために、これまでよりも目が努力を必要とするようになります。
出典:梶田 雅義 他 編:「月刊眼科診療プラクティス 95. 屈折矯正法の正しい選択」 第1版 文光堂:P74, 2003
そのため、初期には「まったく見えない」というよりも、次のような不調として現れることがあります。
- 小さな文字を読むと目が疲れる
- スマートフォンを少し離して見たくなる
- 夕方や、薄暗い場所で手元が見えづらい
- 細かい文字が読みにくい
- 近くを見た後、遠くにピントを切り替えにくい
症状の出方や自覚する時期には個人差があります。近視・遠視・乱視など、もともとの目の状態によっても、見えづらさの感じ方は異なります。
「老眼」という言葉には抵抗を感じる人もいるかもしれません。しかし大切なのは、今の自分の目に合った方法でピント調節を補うことです。見えづらさを我慢し続けるよりも、必要に応じて見え方を整えることが、日々を快適に過ごすことにつながります。
「年齢のせいだから」と決めつけない。目の病気が隠れている可能性も
40代以降は、老眼やドライアイ以外にも、白内障、緑内障、網膜の病気などが見え方に影響することがあります。「年齢のせいだろう」「更年期だから仕方ない」と考えてしまうと、ほかの原因に気づく機会を逃してしまうかもしれません。
特に、次のような症状がある場合は、早めに眼科を受診しましょう。
- 急に見えづらくなった
- 片目だけ見え方が変わった
- 視野の一部が欠けたように感じる
- ものがゆがんで見える
- 光が走るように見える
- 黒い点や影が急に増えた
- 強い痛み、充血、まぶしさがある
見えづらさを我慢すると、生活にも仕事にも影響する
近くが見えづらい状態でも、「仕事を休むほどではない」「少し不便なだけ」と考え、我慢しながら日常生活を続ける人々もいます。しかし、見えづらい状態でPC作業や細かい作業を続けることは、想像以上に目や体の負担になります。
根岸先生らが実施した調査*3では、194名のオフィスワーカーのうち86名が近くの見え方に支障を抱えており、近方視の目の不調による労働生産性の低下は、一人当たり年間約38万円規模の経済損失につながる可能性が示されています。
※慶應義塾大学医学部 眼科学教室 教授 根岸 一乃 先生よりお話を伺いました。
<根岸先生コメント>
近くの見えづらさは、単なる「年齢による不便」ではありません。生活や仕事の質にも関わる問題です。
「まだ見えるから大丈夫」と我慢するのではなく、「疲れにくく、快適に見える状態に整える」ことが大切です。
根岸 一乃 先生のプロフィール
医学博士。1988年慶應義塾大学医学部卒業。国立東京第二病院、国立埼玉病院(現・国立病院機構埼玉病院)眼科医長、東京電力病院眼科科長などを経て、2001年慶應義塾大学眼科学教室専任講師に着任。2017年より現職。2021年より教室主任、2025年より慶應義塾大学医学部副学部長も兼務。数多くの要職を経て、日本眼科学会常務理事、日本老視学会理事長、日本眼光学学会副理事長、日本白内障学会評議員。
見た目を変えずに老眼対策ができる、遠近両用コンタクトレンズという選択肢
近くの見えづらさを補う方法には、いくつかの選択肢があります。その一つである遠近両用コンタクトレンズは、1枚のレンズに遠くを見るための度数・近くを見るための度数を配置し、遠くから近くまで見える範囲を広げることを目指したレンズです。
老眼鏡と異なり、見た目を変えることなく近くの見えづらさに対応できることも、遠近両用コンタクトレンズの特長の一つです。
遠近両用コンタクトレンズのなかには、見え方を補うだけでなく、レンズの乾きに配慮したものもあります。保湿成分を配合し、涙液を安定させることを目指して設計されたコンタクトレンズは、まばたきの際の摩擦を抑え、なめらかなつけ心地を保ちやすくする工夫がされています。
目の状態、乾きやすさ、左右差、利き目、仕事で見る距離、PC作業時間、運転の有無などによって、視力補正に適した方法は異なります。見え方とつけ心地の両方を大切にしながら、自己判断だけで決めず、眼科で相談して自分に合う選択肢を探しましょう。
目の乾きや疲れを軽減する、日常生活での工夫
日常生活のなかでも、目の負担を減らすためにできることがあります。
- PC・スマートフォン使用中は、意識してまばたきをする
- 長時間画面を見続けず、適度に遠くを見る時間をつくる
- 手元が見えづらいときは、作業環境を明るくする
- コンタクトレンズ使用中に乾きや違和感が続く場合は、眼科で受診する
- アイメイクをする場合は、まぶたやまつ毛の周辺を清潔に保つ
- 目を温めるケアが心地よく感じられる場合は、無理のない範囲で取り入れる
<根岸先生コメント>
遠近両用コンタクトレンズを利用したい場合は、近くの見えづらさを感じ始めた比較的早い段階から取り入れた方が慣れやすく、日常生活にも自然に組み込みやすいと思います。メガネをかけず、これまでの見た目や生活スタイルを大きく変えずに近くの見えづらさに対応できることも特長です。また、種類が非常に多いため、もし合わないと感じても別のレンズでは快適に使える場合があります。
更年期世代の目の不調に関するよくある質問
Q1. 更年期と目の疲れは関係がありますか?
更年期との直接の関係はわかっていませんが、老眼やドライアイなどによる見え方の変化が起こりやすい年代でもあります。近くを見る際の負担が増えることで、目の疲れだけでなく、肩こりやだるさにつながることがあります。
Q2. 目がかすむことがありますがなぜですか?
目のかすみには、老眼によるピント調節力の低下やドライアイによる涙液の不安定さなどが関係している場合があります。また、白内障などの病気が原因となることもあるため、症状が続く場合は眼科で相談しましょう。
Q3. 更年期世代はどのくらいの頻度で眼科を受診すればよいですか?
40歳を超えたら年に1回程度を目安に眼科で検査を受け、自分の目の状態を把握しておきましょう。見えづらさなどの症状がある場合はもちろん、自覚症状がなくても定期的に目の状態を確認することが大切です。老眼だけでなく、緑内障や白内障などの病気が見つかることもあります。
Q4. 老眼対策はいつ頃から始めるべきですか?
近くの文字が見えづらい、夕方になると目が疲れるなどの変化を感じたら、一度眼科で相談することをおすすめします。早い段階から自分に合った方法で見え方を補うことで、快適に過ごしやすくなり、生活の質に影響します。
Q5. 遠近両用コンタクトレンズはどのような人に向いていますか?
遠くも近くも見る機会が多い人や、コンタクトレンズを継続したい人にとって選択肢の一つです。メガネの掛け外しを減らしたい人や、これまでの生活スタイルや見た目を大きく変えずに見えづらさへ対応したい人にも適しています。
*1 厚生労働省(女性の健康相談に関わる方向け) 更年期世代の女性の健康支援に関する 学習資材
*2 Dove Medical Press Presbyopia, Dry Eye, and Retinal Thickness in the Middle-Aged Population: Focusing on Sex Differences
*3 日本老視学会第4回学術総会 オフィスワーカーを対象とした近方視機能の実態調査
2026PP15105
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