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Well-being

禁煙の成功、デジタル技術が支える 「ピアサポート」が鍵に

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「禁煙したいけれど、なかなかやめられないー」 。こんな風に思っている方も少なくないのではないでしょうか?

禁煙は全身の健康状態を改善し、がんや心疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする多くの疾患リスクを減らします。しかし、現在日本では働き世代である30代から50代の男性の3割が喫煙しています。禁煙は健康経営を推進する企業でも大きな課題です。*1

「健康寿命と平均寿命の10年の差」を縮める解決策を生み出すーーー。この目標の下、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループではSmart Health Aging Initiative(SHAI)と呼ばれるプロジェクトに取り組んでいます。*2

その一環として今回、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループは、仙台市および習慣管理アプリ「みんチャレ」を提供するエーテンラボ株式会社とパートナーシップを組み、新たな禁煙プログラムを試験的に実施しました。*2

カギは、禁煙補助剤「ニコレット」と「励まし合い」の組み合わせによる行動変容です。

テレワークで増えた喫煙回数 東京オリパラが禁煙のきっかけに

「今はたばこの臭いをかぐのも嫌になりました。自分が吸っていたことが信じられません」。

9カ月前まで毎日1箱のたばこを吸っていたAさんはこう振り返ります。喫煙歴は24年。もともと一日数本吸う程度でしたが、コロナ禍でテレワークになってからは喫煙回数が一気に増えたといいます。

そんなAさんが禁煙するきっかけになったのが、2021年夏に開かれた東京五輪・パラリンピックです。アスリートの姿を見て健康への刺激を受けました。「ニコレット」を使い、禁煙は一定期間続いていましたが、「完全にやめたという自信をもっとつけたい」と、この禁煙プログラムに参加しました。

参加したのは習慣管理アプリ「みんチャレ」と禁煙補助剤「ニコレット」を組み合わせたプログラム。「みんチャレ」は、同じ目的を持つ5人1組のグループでチャット機能を使い、毎日写真をアップロードするなどして進捗を報告し合いながら目標達成を目指すアプリです。励まし合うことで三日坊主を防ごうという狙いがあります。

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Aさんは今年1月から参加。プロジェクトに入る前から禁煙に成功してはいましたが「一緒に挑戦する仲間ができたことで、絶対に継続させようという気持ちが強くなった」といいます。

仲間とチャットで近況を報告し合ううちに「自分が禁煙に挫折してしまうと、一緒に頑張るメンバーをがっかりさせ、皆もあきらめてしまうかもしれない」という相手を気遣う感情も沸いたといいます。こうしてAさんは見事3カ月のチャレンジ期間を達成し終えることができました。


「ピアサポート」が禁煙継続のモチベーションに

喫煙歴20年ほどのMさんは、これまでにも何度か禁煙にチャレンジした経験があります。ですが、会食の場で知人が吸う姿などを目にした時などに挫折してしまい、数週間ほどしか続かなかったといいます。

そんなMさんが「今度こそ絶対にやめる」と誓ったきっかけが、第三子が生まれたことでした。「子どもに副流煙を浴びせるわけにはいかない」と、2021年末に電子たばこのキットを処分し、このプログラムに参加しました。

「メンバーの中で1人、私がチャットに投稿した写真やコメントに毎回反応してくださる方がいたのです。反応やコメントが励みになり続けることができました」(Mさん)。

同じ悩みを抱える仲間同士で支え合う「ピアサポート」が、禁煙を続けるモチベーションになったといいます。


「日本では30代から50代の男性の3割が喫煙」

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高齢が進む日本では、健康寿命と平均寿命の差が10年もあると言われています。ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループは、超高齢化社会における健康課題の解決及びイノベーションの創出等に取り組むSHAIプロジェクトの一環として、今回仙台市にてこの新たな禁煙プログラムの開発とパイロット導入を行いました。

プログラム開発で協業したのは習慣管理アプリ「みんチャレ」を提供するエーテンラボ株式会社です。禁煙補助剤を通じた身体的依存を乗り越えるサポート(ニコレット)と、心理的依存を乗り越えるサポート(みんチャレ)を両輪とした禁煙プログラムを開発し、仙台市とのパートナーシップを通じて、今年1月から仙台市の通信事業会社、百貨店、電気工事会社、製薬会社、自治体などの5団体が利用を開始しました。

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母数が違うため単純比較はできませんが、導入の結果、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループが社内で行った、ピアサポートがない禁煙プログラムと比べて、参加者数が3倍に増えました。また、「みんチャレ」と「ニコレット」を併用した方が、「ニコレット」だけを使った場合と比べて約1.6倍、「みんチャレ」のみを使った場合と比べると約2倍の継続率となっています。コロナ禍でもリモートでプログラムに参加できたことも、続けやすかった理由の一つと参加者は話しています。

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「みんチャレ」を開発したエーテンラボ株式会社の長坂剛代表はアプリと禁煙補助剤の相乗効果が奏功したと話します。

「ダイエットなどと違い、禁煙は医療に近く、みんチャレのアプリだけでの達成は難しいと考えています。今回、ニコレットとみんチャレを併用したことで互いのないものを補完しあえたのだと思います」(長坂代表)


喫煙は受動喫煙の「加害者」になりうる 専門家が指摘するリスク

受動喫煙対策に詳しい大和浩・産業医科大学教授も、禁煙補助剤と「みんチャレ」による励まし合いの組み合わせは、禁煙をサポートするのに有効だと話します。

「大勢が参加するメーリングリスト形式の禁煙トライアルは以前からありました。でも5人という小さなコミュニティで励まし合うシステムはなかったと思います。私が考える禁煙に一番重要な『薬』は、禁煙しようという動機です。5人で助け合い、一つの目的に向かうことでそれぞれの動機を維持できるのだと思います。それに、一度あきらめた場合でも別のグループに入って再チャレンジできる。このシステムもまた秀逸だと思います」

また、数多くの企業の禁煙対策を手掛ける大和教授は、受動喫煙のリスクについても警鐘を鳴らします。

「通勤途中の喫煙所や新幹線ホームの喫煙所で吸うことは受動喫煙の『加害者』になりうることを知ってほしい」と大和教授は話します。受動喫煙とは喫煙者の周囲にいる人が、喫煙者が吐き出す副流煙を吸い、有害物質が体内に入ること。たばこを吸い終わった後も有害物質が呼気に残り、知らず知らずのうちに「加害者」になってしまうのです。

2018年に健康増進法の一部が改正され、2020年に全面施行されました。屋内の施設が原則禁煙になり、望まない受動喫煙の防止はマナーからルールへと変わっています。「自宅のベランダで吸った場合、半径25㍍には副流煙が流れ、近隣住宅への受動喫煙の加害者になります。台所の換気扇の下で吸っても、廃棄に含まれる煙で受動禁煙が発生します」(大和教授)。

大和教授は「禁煙に成功しない人は、吸える環境があるから。環境を大きく変えなければ成功しません」と言い切ります。「どこで喫煙しても誰かが影響を受ける可能性がある。受動喫煙は社会全体で変えていかねばならない問題です」(大和教授)。

かつては禁煙治療といえば、禁煙補助薬など限られた方法しかありませんでした。今はAI(人工知能)やデジタル技術の進歩で選択肢が広がっています。禁煙に成功する人が増え、受動喫煙の問題を社会全体で変えていく。そんな時代に入っています。

※内容は大和浩・産業医科大学教授に監修いただきました。


【Smart Health Aging Initiative(SHAI)について】

高齢化の世界的進行に伴う社会や医療課題は大きな機会でもあります。高齢化先進国の日本では、65歳以上の人口が3割に迫り、現在も拡大しています。
日本の平均寿命は長いものの、高齢期におけるクオリティオブライフ(QOL)の低下により、健康寿命と平均寿命の間位には約10年の差(失われた10年)があります。
この失われた10年を縮めるべくジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループはスマート・ヘルシー・エイジング・イニチアチブ(SHAI)を立ち上げました。
健康的に年を重ねていく(ヘルシーエイジング)ためには、患者中心のア包括的なプローチが必要です。ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループでは、消費者向け製品をはじめ、医療機器や医療用医薬品を扱うトータルヘルスケアカンパニーとしての技術力と知見を集結させ、健康な高齢者と高齢者患者両方のニーズに取り組みます。
SHAIは高齢者のQOL改善のために社外パートナーとの協業を通じて、幅広いエコシステムの構築を目指します。現在SHAIは主要大学や研究病院、民間企業、データプロバイダと連携し、複数の疾患領域でのインサイト創出とソリューション開発に取り組んでいます。


【禁煙補助剤「ニコレット」と習慣化アプリ「みんチャレ」を掛け合わせた禁煙プログラムに関して】

お問い合わせはこちら:RA-CONJPTO-jjconjpco@its.jnj.com


【ジョンソン・エンド・ジョンソンの禁煙推進の取り組み】

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、全世界のグループ企業すべての職場を禁煙とする「職場禁煙ポリシー(Worldwide Tobacco-Free Workplace Policy)」を2007年より実行し、ビルの敷地、オフィス内、社用車、会社主催のイベント、自宅などでは時間を問わず全面禁煙としました。

日本法人グループでは職場禁煙ポリシーに加えて、2019 年 1 月から、昼休みを含む所定の労働時間中は社内外を問わず禁煙とする「所定労働時間内禁煙ポリシー」を実行し、受動喫煙を含めて、社員を喫煙による健康被害から守るための禁煙キャンペーンや禁煙サポートプログラムを実施しています。

また、社内の禁煙に対する取り組みを更に推進すべく、『禁煙推進企業コンソーシアム』*3に2019年から参加しています。2021年に行われたシンポジウムには、ジョンソン・エンド・ジョンソン・コンシューマーヘルス・ジャパン・プレジデントの黒木昭彦が登壇しました。その中で私たちの禁煙ノウハウを含む「禁煙白書2021」が発表されました。


*1 2019年 国民生活基礎調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html
*2 ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループは東北大学病院、仙台市と昨年Smart Health Aging Initiativeに係る基本合意書(MOU)を締結し、3者間において超高齢化社会における健康課題の解決及びイノベーションの創出等について連携・協力して取り組んでいます。
*3 「禁煙推進企業コンソーシアム」は、健康的な社会の実現に向けて、企業内の禁煙推進に賛同し禁煙希望者をサポートするため、東京に本社や事業所を置く企業を中心に、2019年4月に発足。各社の喫煙率低下に向けた具体的な施策を共有し、定期的な情報発信をしている

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