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INNOVATION

人生100年時代 
研究のシーズを社会実装につなげる 官民学の新たな挑戦

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人生100年時代、満たされない社会の健康福祉ニーズはますます増えています。医療課題に対する解決策へのより画期的かつ実装可能なイノベーションが求められる中、企業や大学といった組織や分野の壁を取り払い、基礎研究を社会実装につなげようとする動きが加速しています。

世界でもアカデミアの研究レベルが高いと言われる日本ですが、欧米と比べると基礎研究を社会実装につなげる力に課題があることが指摘されています。このため基礎研究と産業化の間にあるギャップを解消する取り組みが進んでいます。

ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門、ヤンセンファーマ株式会社(以下、ヤンセン)では東京大学との間で2022年から新たにパートナーシップを組み、研究のシーズ(種)を産業化させるためのプロジェクトを推進しています。


基礎研究を社会実装するために欠かせない5つのポイント

世界知的所有権機関(WIPO)の世界知的財産指標 (World Intellectual Property Indicators: WIPI) 報告書によると、2020年の特許出願数(自国を含む世界で出願した特許の総件数)のトップは中国で約150万件(前年比6.9%増)。次いで米国の597,172件(同3.9%減)、日本は3位で288,472件(同6.3%減)です。*1世界ではトップ3にランクインしてはいますが、過去には日本がトップだった時もあります。また、文部科学省の資料によると日本の論文数は横ばいであり、他国・地域の増加により順位を下げており、特にトップ10%補正論 文数で日本の順位低下が顕著です。*2

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資料 : World Intellectual Property Organization (WIPO)
 
「日本発のイノベーション創出エコシステムを強化できないだろうか?」

この課題に応えるべく、今年6月、ライフサイエンス分野のイノベーション創出について考えるパネルディスカッションが東京大学で開かれました。ヤンセンと東京大学が共催したこのイベントでは、東京大学の研究者や文部科学省など国の機関、民間企業の代表者が日本の大学発の基礎研究をどうビジネスにつなげ、成長させるかというテーマで意見を交わしました。

パネルディスカッションの参加者からは、日本のアカデミアは研究レベルでは非常に優れているものの、社会実装につなげるための戦略づくりなど、苦手な部分もあるという発言がありました。この解消のためには、産官学のコミュニケーションを円滑にすること、ロールモデルとなる成功事例を1例でも多くつくることが重要だとの意見が出されました。

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また、別の参加者は基礎研究を社会実装するためには①資金調達②マネジメント③現場のニーズを理解する人材④テクノロジー⑤マーケティングが不可欠であるとの考えを示しました。その一方で、大学だけでこの5つの要素を達成することは難しいことから、産官学における今後さらなる連携強化の重要性が強調されました。

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共同研究やベンチャー起業を支援、人材育成の狙いも

2022年から3カ年の東京大学とヤンセンのパートナーシップでは、東京大学の研究シーズ(種)を網羅的に探索し、社会実装につなげることが狙いです。産官学が一体となって知見を共有し合うことが、日本のイノベーションを推し進める一助になると考えるからです。

具体的にはヤンセンの注力領域に該当する複数の研究を選択し、ヤンセンと東京大学の間で社会実装に向けた可能性を議論し戦略立案します。

今回のパートナーシップは、ヤンセン社員とともに東京大学の研究者、両者の人材育成の狙いもあります。東京大学の研究者が社員に対し定期的にセミナーを開き、創薬全般について解説いただくことで、社員の最新の研究に関する知識レベルをアップし、イノベーションの創出につなげていきたいと考えています。また、東京大学の研究者に対しては、ヤンセン社員の得意とするプロジェクトマネジメントや市場ニーズ解決を目指すための開発戦略立案について、対話を通じて学んで頂き、両者での人材の成長を図っていきたいと考えています。


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プロジェクトをリードするヤンセンの醍醐聡は「今回のプロジェクトを成功させ、グローバルで活躍する研究者を増やし、日本のサイエンスが世界で注目されるようになって欲しい」と意気込みます。


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東京大学産学協創推進本部の東條英明氏は、「今回、ヤンセンとの戦略的パートナーシップを始めるにあたり、東京大学の生命科学系教員の公開論文を網羅的にリスト化することとしました。リストのアップデートは、博士課程大学院生のオンキャンパスジョブ制度等も活用し、大学院生の人材育成も考慮した運営を進めています」と述べています。


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また、東京大学工学系研究科/医学系研究科の鄭雄一氏は「これまでギャップを埋める試みは主に大学・公的機関のさまざまな制度を利用して行われてきましたが、今回、民間企業の協力のもと産学相互でギャップを埋める戦略を考えます。これは画期的な取り組みであり今後の成果が期待されます」と述べています。


メンターとして投資家へのプレゼン技術を支援

これまでにもジョンソン・エンド・ジョンソンは大学や研究機関をはじめとしたアカデミアのサポートや、「病が過去のものになる未来」に向けてヘルスケアの課題に取り組む若きイノベーター支援に注力してきました。

2020年には、武田薬品工業、湘南ヘルスイノベーションパークなどと共催で基礎研究の社会実装を目指す「インキュベーションプログラム」を実施。ヤンセンは、近視の進行を予測するアルゴリズム開発など、3つの研究テーマに対して事業化に向けたサポートを行っています。

また、産官学のイノベーションで、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループがフォーカスする課題の一つが日本の高齢化社会とヘルスケアです。10年ともいわれる日本人の寿命と健康寿命を縮める取り組みであるスマート・ヘルシー・エイジング・イニシアティブ(Smart Health Aging Initiative:SHAI)では、イノベーションのアイデアを募りファンディングするピッチコンテスト「クイックファイアー・チャレンジ(QFC)」を立ち上げました。


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ジョンソン・エンド・ジョンソン イノベーションでアカデミアやベンチャー支援を担当する楠淳は「企業と研究機関の人材交流が活発な欧米や中国と比べ、日本の研究者は投資家に研究を売り込むプレゼンテーションをいかに魅力的に見せるかという点で、苦労するケースが多いように思います」と説明します。その上で「私たちはメンターとして、どのような情報を盛り込めば事業会社に効果的に訴求できるのかなどグローバルスタンダードなプレゼンにするためのサポートを提供してきました。今回の東京大学とのプロジェクトでも、これまでの知見を生かしたい」と話します。


*1:世界知的所有権機関https://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo_pub_941_2021.pdf

*2: 科学技術指標2022https://nistep.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=6798&file_id=13&file_no=2

 
【本件に関するお問い合わせ先】
ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ
メディカル カンパニー コミュニケーション&パブリックアフェアーズ
Email: press@its.jnj.com

私たちが目指す「スマート・ヘルシー・エイジング」社会の実現の一助として、ヘルスケアイノベーション・アイデアコンテスト「クイックファイアー・チャレンジ」の参加を募集しています。日本語・英語両方で応募いただけます。(英語推奨)

 

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