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心の病気があっても自信を持って働ける社会

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コロナ禍でリモートワークが広がり、対面でのコミュニケーションがとれない状況が続いています。こうした中、従業員のメンタルヘルスへの配慮がこれまで以上に重要になってきました。

心の病気は誰もがかかる可能性があります。病気になったとしても安心して働き、暮らせる社会にする。そのためには周囲の理解が欠かせません。

メンタルヘルス疾患がある従業員が自信を持って働ける環境を、上司や同僚はどうつくるのか。ジョンソン・エンド・ジョンソンの2つのストーリーを紹介します。

ケース1:「チャレンジは怖くない」上司が背中を押してくれた

ヤンセンファーマ株式会社 イムノロジー事業本部 IBD部門
森真理子
ケイト・ノートン

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森真理子 ヤンセンファーマ

森真理子が双極性障害を発症したのは6年前。過去に大きなストレスを受け、仕事を続けることが難しくなり退職しました。双極性障害とは、活動的な躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。*1森は退職後3カ月ほど入院し、治療を受けました。

「一番ショックだったことは、それまで築いてきたキャリアを突然失ったことでした」(森)。

退院後は社会復帰を目指し生活訓練事業所に通い、再就職を果たしました。必要な配慮を受けながらもっと裁量を持ち、頑張りを評価してもらいたい―。そんな思いが徐々に強まった2020年2月、ヤンセンファーマに入社しました。

自身を「与えられた業務に対し、頑張りすぎてしまう性格」という森。最初の上司は、少しずつ環境になじめるよう仕事をセーブしてくれたといいます。

また、週に1回ヒアリングを行い、業務の進捗や困ったこと、体調の変化などを確認。さらに、業務をチーム内で共有し、仕事量が多くならないよう配慮しました。

「当時は『もう少し仕事を増やしてほしい』と思う時もありました。でも今思うと、それは上司が頑張りすぎる私の性格を理解してくれていたからこそ。おかげで他のメンバーの仕事を観察する余裕が生まれ、会社で働く土台をつくることができました」(森)。


●「障害の有無に関わらず、全員が強みを生かせる仕事に」

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ケイト・ノートン ヤンセンファーマ

今、森はオーストラリア出身のケイト・ノートンが率いるチームで、ノートンのパーソナルアシスタント、そしてマーケティングチームのアシスタントとして働いています。チームは難病指定されている炎症性腸疾患(IBD)の治療薬のマーケティング・営業活動を行っています。

ノートンは「真理子さんはアシスタントの領域を超える仕事をしてくれています。私は彼女をチーフ・オブ・スタッフ(チームの緩衝材となってリーダーを補佐する役割)と呼んでいます」と高く評価します。

例えばミーティングの設定では、定期的なものだけでも月60回を超える会議の日程調整や、設定といった本来の仕事だけではなく、チームメンバー全員が集まる全体会議のアジェンダ、議事録や「やることリスト」作成から、その後のフォローアップや改善提案にいたるまで、自発的に業務に取り組んでいます。

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「いいことだけではなく、厳しいことも正直にシェアしてくれる。コロナ禍でオーストラリアにいる私の目や耳、口となり業務を進めてくれています」

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ノートンがチーム運営で大事にしていることは何でしょうか。「障害の有無に関わらず、全員が業務に明確なゴールを持ち、本人の強みを生かせる仕事を用意すること。与えられた役割を楽しく感じられるかどうかに価値を置いています」と説明します。

ワーキングマザーとして、オーストラリアから日本のチームをマネージするノートンは、誰にでも仕事に影響を与えうる事情があり、疾病や障がいの有無に関わらず、それぞれが持つ強みを生かしてこそ、組織のダイバーシティが実現できると考えています。

ノートンから「チャレンジは怖くない」と教えられる中で、森の心境に変化が生まれました。今後はアシスタントという補佐的な仕事から、マーケティングなど業務そのものに取り組みたいと考えるようになったのです。一度は諦めた自分のキャリアを再び築く喜びを感じながら、チームのため日々業務にあたっています。

リモートワークでは、オンやオフの切り替えや対面でのコミュニケーションがとれず、メンタルの不調を感じる人が少なくありません。

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「私自身の経験から、疾患がある人は自分が抱えている悩みや不安を言い出しにくい。出社した時に雑談で声をかけたり、話を聞いてもらうことがモチベーションの維持につながると思います」

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ケース2:「自信を持てる仕事」を探して ともに走った6年

メディカル カンパニー
コーポレートストラテジー&コマーシャルエクセレンス本部
コーポレート パートナーシップ グループ
吉永大志
小嶋久美子

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吉永大志 メディカル カンパニー

吉永大志は入社6年目。子どもの時から遅刻や忘れものが多かったのですが、原因はわかりませんでした。25歳の時にADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けました。

ADHDは発達障害の一つで、発達年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性―衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性があります。多動性―衝動性と不注意の両方が認められる場合や、いずれか一方が認められる場合もあります。*2

吉永は電話対応など、情報を瞬時に処理して、その場に応じた対応が苦手といいます。一方、あらかじめ工程が決まっている業務を進め、業務プロセスに改良を加え、効率化をすることが得意です。

上司の小嶋久美子は、吉永の入社以来、関わりの度合いは変わりながらも同じ部署でともに仕事をしてきました。今年1月からは全国8拠点の支店長を本社から遠隔支援するチームで一緒に働いています。

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小嶋久美子 メディカル カンパニー

小嶋は6年前、吉永の入社が決まった時、自治体が主催する障害者雇用に関するセミナーに参加するなど、準備を進めてきました。吉永の入社後はどんな業務が合うのか、反応を見ながら試していったといいます。

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「ADHDの中でも個性があり、得意、不得意とすることが違います。1つ1つ業務にトライする中で、吉永さんの得意なことを増やしていきました」

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2人が「転機になった」と振り返る出来事があります。ジョンソン・エンド・ジョンソンが製品を卸す販売代理店に関連するデータを管理するチームと一緒に仕事をしたときのことです。プログラミングや業務効率化を得意とする吉永にフィットし、どんどん改良を加えていきました。

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吉永がこのチームとの業務をさらに広げるために、小嶋はチームメンバーと一緒に、業務を連携する上で周囲が気を付けたり工夫すると良いと考えたことを、付箋に書き込み模造紙に貼っていくブレインストーミングを行いました。実際に具体的なアクションを一覧にし体系的に説明する機会を持ったことで、全員の理解が深まり、吉永自身にとってもチームにとっても仕事がやりやすくなり、業務の幅の拡大につながっていったといいます。

●地域とつながり、頼る先をたくさんつくる

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吉永は以前、「障害がある中で働かせてもらっているのだから、早く役に立たなければならない」という焦りがあったといいます。

「得意なことを仕事に生かし、誰かの役に立っていると実感できた時に、焦りから解放されました」(吉永)。

「吉永さんが仕事を頑張りたいと強く思う中で、得意分野を生かした業務への集中で活躍の場が広がり、それを仲間が受け入れてくれた。『むちゃくちゃ嬉しい』という吉永さんの言葉を聞いた時は、私も本当に嬉しかったです」(小嶋)。

吉永は今、ADHDについて理解を深めてもらおうと社内の勉強会にも登壇し、情報発信しています。

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「上司だけではなく、会社の産業医、地元のコミュニティや地域の保健師、いろいろな方とつながり、頼る先をたくさんつくることも大切です」

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*1*2 厚生労働省「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス総合サイト」リンクはこちら

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